子宮筋腫
『子宮筋腫』は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍です。
■症状と特徴
筋腫は、腫瘍ができる場所によって3つに分類され、筋層内にできる筋層内筋腫が約70%を占め、次に多いのが子宮の外側を覆う漿膜にできる 漿膜下筋腫で約20%、最も少ないのが子宮筋腫のすぐ下にできる粘膜下筋腫です。 症状は、筋腫の種類や大きさによって異なります。筋腫が小さくても症状がすぐに現れるのは粘膜下筋腫で、他に比べ月経痛が強く、出血しやすいのが特徴です。 筋層内筋腫や漿膜下筋腫は小さいうちには、ほとんど症状がみられません。 大きくなるにしたがって、下腹部のしこり、過多月経、頻発月経、そうした月経異常からくる貧血、動悸、筋腫が周囲の臓器を圧迫することによる下腹部の張りや痛み、 腰痛、月経困難症、便秘、頻尿、排尿痛などが生じます。 子宮筋腫は、子宮の筋肉の一部にできる良性の腫瘍です。30歳代の女性の20%に筋腫があるといわれ、40歳代がピークです。
■原因
原因は不明です。ただし、子宮筋腫は思春期から次第に大きくなり、閉経から老年期にかけて小さくなることから、女性ホルモンが関与するとみられています。
■治療
子宮筋腫は良性の腫瘍で、癌化することはないので、日常に差し支えるような症状がなければ様子を見ます。 手術をするのは①筋腫が握りこぶし大以上の大きさで、他の臓器を圧迫して不快症状が出ている場合、 ②筋腫は小さいけれどしばしば出血し、貧血などの重い症状がある場合、③短時間のうちに筋腫が成長して大きくなった場合、 ④筋腫が不妊の原因と考えられ、妊娠の可能性を探りたい場合などが挙げられます。 なお、妊娠に至った場合、妊娠中や分娩時にトラブルを引き起こす可能性があります。 更年期に発見された筋腫は、閉経後に小さくなることもあるので、手術などをせずに様子を見ます。 手術方法には、妊娠の可能性を残し、筋腫だけを取り除く子宮筋腫核出術、妊娠の可能性がなくなる子宮全摘術があります。 子宮筋腫核出術には、回復で行う場合と、内視鏡を使用した腹腔鏡下筋腫切除術があります。 子宮全摘手術には回復術、膣式手術、内視鏡を使用する腹腔鏡下子宮全摘術や腹腔鏡併用膣式子宮全摘術があります。 薬物治療によって月経を半年ほど止めて偽閉経状態を作りだし、症状を軽くしたり、筋腫を縮小させたりする方法もとられています。