肩こり

日本人は、世界でも肩こりの人が多い国民だといわれています。 その理由は、日本人の骨格は首が細くて肩幅も狭いため、重い頭を支えるのが困難だからです。 また、「肩こり」 「腰痛」 「膝痛」などの症状は、昔は中高年の人に多かったのですが、最近では、若い人にも増えてきています。 その大きな原因となっているのが、姿勢の悪さや肩の使い過ぎ、長時間同じ姿勢を続ける、 なで肩肥満不適切な枕運動不足ストレス喫煙などで、 多くの肩こりは、生活習慣や姿勢を改善したり、肩こりを改善する体操をすることで症状を予防・改善できます。 生活に支障を来す場合は、適切な治療を受けましょう。


■肩こりとは?

肩こりがひどくなると、目・歯・頭などさまざまなところに影響を及ぼす

姿勢の悪さや運動不足は、 全身の筋肉のバランスを狂わせたり、筋力を衰えさせたりする最大の要因です。 そして、高度情報化社会が姿勢の悪さや運動不足を招く環境に拍車をかけています。 パソコンやスマホを使うときは不自然な姿勢を何時間もとり続けますし、メールやLINEの普及は出歩く機会を少なくしています。 体をあまり動かさない生活をしていると、血行不良を招いてしまいます。 血液は全身に酸素や栄養を運ぶほか、老廃物を運び去る働きもあります。 肩こり・腰痛膝痛が起こっている場所には、乳酸などの疲労物質が溜まっていますが、血行が悪化すると、 処理されるべき物質がいつまでも停滞し続けることになり、肩こり・腰痛・膝痛はなかなか解消しません。

また、現代の生活では肩の筋肉を動かさないことが多いのも問題です。 車の運転やパソコン、スマホは、腕の先は動かしても、体全体は固まったままといっても言い過ぎではありません。 肩や首の筋肉を動かさないことで、背中から肩にかけての筋肉が緊張し、血管の拡張・収縮を司っている 自律神経が興奮したり低下するなどのアンバランスが生じて、血行が悪くなり肩こりが起こります。

肩こりの大半は、OA機器使用の疲れ、スポーツ疲れ、家事や立仕事などによる疲れが重なって、 肩周辺の筋肉が疲労したり、肩関節に炎症が起こったりすることで生じますが、 「靴のサイズや眼鏡の度数が合わない」ことや 「高血圧」 「頭痛」などの病気も肩こりの原因になることもあり、 これらの場合は「自分に適した靴や眼鏡に替える」「要因となる病気を治療する」ことで改善できます。 肩こりがひどくなると、目・歯・頭などさまざまなところに影響を及ぼすこともあります。


■肩こりのタイプ

肩こりは、肩からぶら下がった腕を支え、日常的に腕を上げる肩周辺の筋肉に、大きな負担がかかるために起こりやすくなります。 肩こりを起こす主な筋肉は、肩甲挙筋、僧帽筋、菱形筋で、肩の筋肉の血流不足で起こります。

▼筋肉の硬直が原因の肩こり
パソコン操作や事務仕事などで同じ姿勢を長時間していたり、運動不足などに陥ったりすると、 肩周辺の筋肉が硬直して、筋肉内部を通る何本もの血管が筋線維によって圧迫されます。 その結果、肩周辺の血流が滞り、ひいては筋肉にこりを助長する乳酸などの疲労物質が蓄積され、肩こりが起こります。

▼背骨歪み型の肩こり
近年急増している猫背や蛇背(背骨が左右に歪む側弯[そくわん]のこと)が原因で起こる肩こりです。 背骨が歪むと、背骨を支えている筋肉や背骨周辺の神経に無理な負担がかかり、しかも血管が圧迫されて全身の血流が悪化します。 それで、肩を始め、背中や腰に負担がかかり、痛みや痺れが同時に生じます。 このタイプの人は腰痛にも悩まされている人が多いようです。

▼頚椎歪み型の肩こり
朝起きたときに肩がすごく重だるかったり、肩こりが悪化したりする場合の多くは、頚椎の歪みによるもので、その原因は合わない枕にあります。 首は、後屈させるよりも前屈させる方が得意だという特徴があり、そのため、少し高い枕を使って首を前屈させて眠る人が数多くいます。 また、高い枕を使って首を前屈させて寝ると、首の後ろの筋肉が伸びて頭に上っている血液がスーッと下がるので、 寝入りばなに気持ちよく寝ることができます。しかし、これが問題です。 確かに、気持ちよく寝入ることができたとしても、高い枕を使っていると首の骨(頚椎)には一晩中、すごい負担がかかります。 頚椎は通常、横から見ると緩やかなS字カーブを描いています。 しかし、寝ているときに高い枕を使って首を前屈させていると、そのS字カーブが崩れて頚椎を歪めてしまうのです。 そして、これが習慣になっていると、就寝中の頚椎の歪みにより、朝起きたときに肩こりが強く起こったり、 腰痛や手足の痺れが生じたりすることにつながります。
【関連項目】:『抱き枕』

▼ストレス型の肩こり
日常生活では、いろいろと緊張する場面があり、それが続くと肩こりなどの体の不調が現れます。 実際に、重要な仕事を任されたときなどに原因不明の肩こりが起こるといった経験をした人も多いでしょう。 このように過剰に緊張すると、自律神経が乱れ血流が悪化します。 すると、筋肉中に乳酸やピルビン酸といった疲労物質が溜まって筋肉が硬直し、肩こりが生じやすくなるのです。 このようにして起こる肩こりを「ストレス型の肩こり」といいます。 ストレス型の肩こりは、几帳面で神経質な人、心配性の人、完璧主義の人、頑張り屋で忍耐強い人、 失敗するといつまでもくよくよする人など、ストレスを受けやすい性格の人に多く見られます。
【関連項目】:『ストレス』

▼神経圧迫型の肩こり(胸郭出口症候群)
『胸郭出口症候群』

▼病気が原因の肩こり
『病気のサインの肩こりの自己診断法』

■肩こりの原因

肩こりの原因はさまざまですが、肩のこりや痛み、重だるさや疲労感の直接の原因は、肩の筋肉の血流不足にあります。 筋肉は、中を通る末梢血管にとってポンプのような役割を担っています。 そのため、同じ姿勢を長時間続けたり、運動不足で筋肉をあまり使わなかったりすると、筋肉は柔軟性を失い、 ポンプとしての働きが低下して血流不足の状態に陥ります。 すると、血液に乗って運ばれる酸素が筋肉に十分に行き渡らず筋肉が消費する燃料(糖分)が酸素不足によって不完全燃焼を起こし、 乳酸などの老廃物が溜まってきます。 その老廃物が筋肉に疲労感をもたらしたり、発痛物質として末梢神経を刺激して痛みを感じさせたりするのです。 これが肩こりの正体です。

肩こりが厄介なのは、肩こりが一度起こると、悪循環を招くことです。 凝って硬くなった筋肉のせいで肩の血流はますます悪くなり、疲労物質もどんどん溜まってしまうのです。 したがって、肩こりが招く悪循環に歯止めをかけるには、何よりもまず末梢血管を拡張させて血流を促すことが肝心です。 マッサージやストレッチが肩こりの解消法としてよく行なわれるのも、肩の血流を促す効果が期待できるからです。

肩こりは次のような原因で起こります。

運動不足
肩を支える筋肉の量や筋力が低下します。

▼肩の使い過ぎ
運動や体を使う仕事などで、肩の筋肉を使い過ぎると疲労します。

▼長時間、同じ姿勢を続ける
同じ部位の筋肉を使い続けることになります。

▼悪い姿勢、なで肩肥満
肩や首に、頭や腕の重みが集中します。

不適切な枕
枕が高過ぎたり、低過ぎたりすると首の神経や血管が圧迫されます。

ストレス
自律神経のバランスが崩れ、筋肉が緊張しやすくなります。

喫煙
血流が悪化し、肩周辺の筋肉に送られる酸素や栄養が減少します。

これらの原因によって肩周辺の筋肉が疲労して緊張します。そのため、筋肉を通る血管が圧迫されて血流が滞り、筋肉が硬くなって、肩こりを起こします。 また、筋肉を包む筋膜の滑りが悪くなることも原因になります。 さらに、男性よりも女性が起こしやすいという特徴があります。