胸郭出口症候群

肩こりが続き、腕や手の指先に痛みや痺れがある人は、神経圧迫症型の肩こり「胸郭出口症候群」が疑われます。 胸郭とは、心臓や肺を保護している骨格のことです。胸郭出口とは、胸郭上部の鎖骨や第一肋骨、筋骨(前斜角筋や中斜角筋) などで囲まれた隙間のことです。この胸郭出口には、たくさんの血管や神経が走っているため、 何かの原因で胸郭出口が狭められると、血管や神経が圧迫されて肩こりが起こります。これを「胸郭出口症候群」と呼びます。

胸郭出口症候群は、なで肩やまる肩(猫背)の人に多く見られます。また、パソコンを使う人、果樹園で働く人、 内装業の人など、腕を上げたままの姿勢で長時間仕事をしている人もなりやすいといえます。 基本的には30〜60代の人に多く見られますが、10代の患者もいます。
なお、我慢強い人、負けず嫌いの人、鬱傾向の人などは、肩こりがひどくなってもジッと我慢していて、 症状を悪化させることがよくあります。また、鎮痛剤などで肩こりを安易に解消させようとする人も、症状を悪化させがちです。

胸郭出口症候群の症状は、肩の痛みはもちろん、腕、手の指先の痛みやだるさ、痺れなどがあります。 さらに、背骨と肩甲骨の間に痛みを伴うことも特徴です。ちなみに、胸郭出口症候群の症状は、 いつも同じように感じるのではなく、ある姿勢や動作などで胸郭出口が狭められたときにおこります。 したがって、昼間働いているときだけでなく、自宅でくつろいでいたり寝ていたりするときにも起こる可能性があります。


■内臓の病気が原因の肩こり

肩こりの原因の一つに、内臓の病気があります。肩こりと内臓の病気というと、まったく関連性がないように思われますが、 実は密接に関係しています。たとえば、空気の通り道である気管、食物の通り道である食道、血液の通り道である頚動脈、 甲状腺ホルモンを分泌する器官はすべて首にありますし、自律神経も首の骨(頚椎)の周りに集中しています。 このため、胃腸や肺、心臓など、これらの器官と直接関係のある内臓の働きが悪くなると、首や肩の異常、 特にこりとなって現れることが多いのです。

内臓の病気は、一般に自覚症状が現れにくく、肩こりがそれを教える唯一の手がかりになる場合も珍しくありません。 そうした肩こりの特徴としては、主に次のような共通点があげられます。

  • 姿勢や動作と関係なく起こり、ジッとしていても痛む。
  • 痛む場所があいまいで、しかもあちこちに移動する。
  • 痛み方や持続時間もはっきりしない。

などです。これらの項目に当てはまるような肩こりであれば、内臓の病気が原因になっている恐れがあります。 肩こりの原因となる主な病気は次のようなものです。


▼心臓病
心臓は、体の中心から左寄りに位置するため、狭心症や心筋梗塞など心臓病の危険がある人は、 左側の胸から肩、肩甲骨、さらに腕や背中にかけて痛みの広がるのが特徴です。 高血圧の場合は、両肩と首から後頭部にかけて痛みが生じやすくなります。

▼肺の病気
近年、社会的に禁煙傾向にありますが、それでも肺癌や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの肺の難病にかかる人が 少なくありません。こうした肺の難病が発症すると、上腕部の頚動脈が圧迫されて、肩と腕に激しい痛みが生じます。

▼肝臓病
肝臓に何か異常が起こっていると、肝臓の裏側の背中や腰に痛みやだるさがまず現れます。 そして、しだいに肩こりも生じるようになります。基本的には、背中や腰の痛みの方が、肩こりよりも強く起こります。

▼その他
肝臓でつくられた胆汁を濃縮し、必要に応じて十二指腸に送る役目をする胆のうに結石(胆石)ができると、 特に右肩だけがこって激しく痛むようになります。このとき、早めに対処しないと、肩こりが慢性化することもあります。

以上のような肩こりの特徴が思い当たる人は、内科の診断を受け原因を探ってください。

【関連項目】:『病気のサインの肩こりの自己診断法』