温浴【疲労回復・心身のリラックスに】

身体の疲れを取りたいとき、心身をリラックスしたいとき、スッキリ目覚めたいとき・・・・・
それぞれの目的に合った入浴法(温浴法)があります。
ちょっとした工夫とプラスアルファで、疲労回復リラックスが効果的になります。


温浴の基本


温浴の作用

「温熱・水圧・浮力」の3大作用が相乗的に働いて健康をサポート

日本人が大好きなお風呂には、物理作用によって、健康に役立つさまざまな作用があります。

▼「温熱」の作用
心地よい温度の湯にじっくり浸っていると、身体の心まで温まってきます。 血管が拡張して、血液の流れがスムーズに。すると、内臓の働きも活発になり、 新陳代謝が促進されます。汗とともに老廃物が体外に排出され、 自然なデトックス(解毒)につながります。

▼「水圧」の作用
お風呂の湯に肩まで浸かったとき、身体が受ける水圧はおよそ1トン。 この大きな水圧がマッサージと同じ効果となって働き、筋肉の疲れを取ってくれます。 また、足に圧力が加わることで、身体の下のほうに溜まりがちな血液が心臓方向に押され、 血液循環が促されます。

▼「浮力」の作用
重力から開放されると、心も身体もリラックスします。湯の中では、体重は地上の1/9に。 筋肉も緊張を解かれて緩み、コリや疲労がすっと軽くなります。

目的に合った入浴(温浴)法

お風呂の湯の「温かさ」は、血行をよくしたり、発汗を促すなど身体に直接働きかけると同時に、 自律神経にも作用します。 一般に、体温に近いぬるめの湯は副交感神経を刺激して、心身をリラックスモードに導きます。 反対に、湯の温度が40℃以上になると交感神経が刺激され、心も身体も活動モードになります。

そこで、就寝前やリラックスしたいときには38℃前後のぬるめの湯に浸かって副交感神経を優位に します。ただし、就寝直前の入浴はお勧めできません。体温が上がった状態では、 寝付きにくくなることがあるからです。布団に入る1時間くらい前に入浴を済ませると、 体温が下がっていくにつれて眠気が訪れ、眠りに入りやすくなります。

スッキリ目覚めたいときは、40~42℃前後の湯で交感神経を刺激しましょう。 寝起きの身体を驚かせないように、始めに38℃くらいの湯をかけてから湯船に浸かります。 朝はシャワーという人も、同様に38℃くらいの湯を1分程度浴びてから、 徐々に40~42℃くらいまで温度を上げましょう。

湯の適温は時間帯のほか、季節によっても異なり、例えば熱い季節には30℃くらいの湯に浸かると リラックスできます。


半身浴

湯の温度とともに、湯の量にも注目しましょう。通常の入浴は、肩から首の辺りまで浸かる 「全身浴」です。身体が温まりやすく、たっぷりの湯に身体をあずける心地よさは格別です。

一方、身体のみぞおちから下だけが湯に浸かるようにする入浴法を「半身浴」といいます。 心臓を湯の中に入れないので心拍数が上がりにくく、長時間湯に浸かっていることができます。 身体の芯まで温まり、湯冷めもしにくくなります。 半身浴をお勧めするのは、汗をかきにくい人、冷え性の人、むくみやすい人、肌荒れが気になる人 などです。足の疲れを取りたいときにも効果的です。

半身浴の入浴法は、38℃くらいのぬるめの湯にみぞおちから下だけ浸かり、両腕は湯船の外に出して おきます。上半身が寒いときは肩からタオルをかけておくとよいでしょう。 個人差はありますが、20~30分ほど浸かっていると上半身まで汗ばんで、 身体が十分に温まります。

半身浴をしてもなかなか汗をかけない人は、汗腺が衰えているか、冷え性であることも考えられます。 その場合、何度か半身浴を繰り返すうちに徐々に汗をかけるように改善されることがあります。 「ぬるめの湯にゆっくり」を心掛けて、半身浴を続けてみましょう。


湯気・入浴剤の効果

温熱、水圧、浮力の3大作用とともに見逃せないのは「湯気」の効果です。 温まった身体に湯気が当たると肌は柔らかくなり、毛穴がよく開きます。 また、湯気を吸入すると鼻づまりやのどの痛みが楽になったり、乾燥しがちな季節には 風邪の予防にも役立てることができます。

湯気とともにほんのりと立ち上がる香りもいいものです。バスタイムはアロマテラピーを行う 絶好の機会といえるでしょう。鼻から吸い込んだ香りは大脳に伝わり、自律神経に働きかけます。 ほっとリラックスする香り、スッキリリフレッシュする香りなど、そのときの目的と気分に合わせて 入浴剤を選ぶとよいでしょう。

また、香りの分子は鼻からのどを通って肺にも入ります。 アロマテラピーで用いる精油(エッセンシャルオイル)には殺菌作用があり、呼吸器系の健康にも 役立ちます。精油などを配合した入浴剤などで手軽にアロマテラピー効果を楽しむこともできます。

入浴剤には目的によってさまざまなタイプがあります。香りを楽しむもの、肌を潤すもの、 温熱作用を高めるもの、発汗作用を促すもの、水道水に含まれる塩素を中和するなど 湯の性質そのものを変えるものなどがあります。


家庭のお風呂をスパ風にアレンジ

お風呂にはさまざまな歴史があります。浮世絵に描かれた江戸時代の共同浴場は「蒸し風呂」 つまりサウナでした。サウナ浴は世界各地の人に長い間親しまれている温浴法です。
最近、人気を呼んでいる岩盤浴やゲルマニウム温浴は、サウナと同様で湯には浸かりませんが、 温熱作用で身体を温め、発汗を促進してくれる点が共通の特徴だといえるでしょう。 汗は老廃物だけでなく、身体に取り込まれた毒素を体外に排出するためにも重要な役割をしている といわれています。

血流をよくしたりマッサージ効果を高める工夫をしたお風呂もあります。スパなどの入浴施設で 気泡風呂や流水風呂、超音波風呂、マッサージ機能付きシャワーなどを体験している人も多いでしょう。
これらのバラエティに富んだお風呂は、家庭でも楽しめる時代になりました。 普通に湯に浸かるお風呂でも、24時間いつでも湯が設定した温度に保たれる機能を備えたものも 登場しています。スパの語源は、一説によると「潤い」を意味するラテン語からきているそうです。 家庭のお風呂に自己流のアレンジで潤いをプラスしてみてはいかがでしょうか。


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