■納豆菌・ナットウキナーゼ
人体に有益な働きをする納豆菌
効果の持続時間が圧倒的に長い!
私たちの血液の中には、止血したり、傷ついた血管を修復したりする、「フィブリン」という物質があります。
フィブリンは、ゲル状(ゼリーのようなドロドロの状態)をしていて、血液を凝固させるため、血栓が作られる際に、
重要な役割を果たします。通常、体の中では、自然にフィブリンを溶かす作用が働いているのですが、
老化などによってその機能が衰えると、フィブリンが溶解されず、血管が詰まりやすくなります。
ナットウキナーゼは、このフィブリンに働きかけ、血管の中で血が固まった血栓を溶かし血液をサラサラにして動脈硬化を防ぎ、
心筋梗塞、脳血栓、脳卒中、ボケなどを予防します。
また、最近では、肥満や生活習慣病の原因とされるメタボリックシンドロームが急増していますが、
いわゆる”メタボ体質”の人の血管の内側(血管内腔)はとても狭く、血液が詰まりやすくなっています。
この状態を放っておくと、血管はさらに傷つけられ、血液が流れにくい状態に変わっていきます。
場合によっては、血栓症が引き起こされ、死にいたる危険性もあります。
血栓を溶かす作用のあるナットウキナーゼは、こうしたメタボリックシンドロームの改善にも欠かすことのできない成分でもあります。
ナットウキナーゼは、その効果の持続力でも、大変優れています。
心筋梗塞の治療に使われる注射薬の場合、血栓溶解に働く持続時間は約4~20分程度です。
一方、ナットウキナーゼでは、8~12時間と圧倒的に長いことがわかっています。
こうした血栓溶解剤の代表的なものに「ウロキナーゼ」という薬があります。
ナットウキナーゼはウロキナーゼと似た働きをしますが、納豆100gの中には、値段に換算すると、
約16万円分のウロキナーゼに匹敵するほどの効果があるのです。
血栓が溶けて血液がサラサラになれば、全身の血行が良くなるため、
高血圧の予防・改善につながるのは、いうまでもありません。
また、悪玉コレステロールの酸化は高血圧を招く一因ですが、納豆はこれを防ぐ働きもします。
納豆の効果は、これだけにとどまりません。
私たちの体の中には、「レニン-アンジオテンシン系」という、血圧に関連したメカニズムが存在します。
血液中のACEという酵素が、アンジオテンシンⅠをアンジオテンシンⅡに変えることによって、
血圧が上昇することがわかっています。納豆はこのACEの働きを抑えて、高血圧を予防・改善するのです。
もう一つ、ナットウキナーゼの特徴として注目すべきは、その安定性です。
主に生鮮食品に含まれ、生物が生きるうえで欠かせない酵素は、体内に取り込まれても、
そのほとんどが消化器官で破壊されてしまいます。
しかし、ナットウキナーゼは消化液で分解されることなく、体内で有効に働くのです。
ただし、注意したいのは、ナットウキナーゼも酵素ですから、熱に弱いということです。
熱を加えると、体内に入る前にその効力を失ってしまいます。
よって、効果的に摂取するためには、納豆は加熱せずにそのまま食べたほうがいいでしょう。
ちなみに、納豆は他にもたくさんの効能を備えています。
納豆100gの中には、強力な抗菌物質が約20mgも入っており、優れた抗菌作用を発揮します。
また、骨が弱くなる骨粗鬆症の予防に効果的とされる、「ビタミンK2」も多く含まれています。
「食物繊維」と「レシチン」は、糖尿病や便秘にもよい影響を及ぼします。
「コリン」という成分は、記憶力を高め、脳の働きを活性化してくれます。
また、ナットウキナーゼの愛用者には、糖尿病が改善したという人や、
指先や足先の末端の冷え性が改善したという人、肩こりが楽になったという人が多くいます。
これはナットウキナーゼによる血流改善作用によるものと考えられます。
さらに、息切れや歩行能力の改善、狭心症の症状の消失など、さまざまな改善例が確認されていますが、
これらの効果は、どこまでナットウキナーゼと関連があるかはまだよくわかっていません。
●ビタミンKと抗血液凝固剤
それでは、血栓症予防のためには、ナットウキナーゼが含まれる納豆を日ごろからたっぷり食べればいいのかというと、
実は必ずしもそうとはいえない面もあります。
なぜなら、納豆には「ビタミンK」という成分が含まれているのです。
狭心症や心臓人工弁の手術後の治療薬には、一般に「ワーファリン」という抗血液凝固剤が使われますが、
ビタミンKを摂取するとその作用が弱まってしまいます。
このため治療では、ビタミンKを多く含む納豆、青汁、クロレラなどの食品を摂取することが制限されているのです。
●ナットウキナーゼのサプリメント
健康食品であるはずの納豆が制限されるとなると、何を摂取すればいいのでしょうか?
そこで注目されるのが「ナットウキナーゼのサプリメント」です。
納豆の成分から、ビタミンKを取り除き、ナットウキナーゼだけを抽出しているため、
ワーファリンの効果に悪影響を与えないことが研究からも明らかになっています。
ある試験では、ワーファリンを処方されている患者30名を2つのグループに分け、一方にナットウキナーゼのカプセルを、
もう一方には同じ形状のナットウキナーゼが入っていない偽薬を渡し、ワーファリンと併用してもらいました。
この試験は、医師も患者もナットウキナーゼのカプセルかどうかわからないため、心理的な影響に左右されずに
実際の効果が確認できるという信頼度の高い実験方法です。
また、同じようなグループで、同じ手順をとりながら、ナットウキナーゼの量だけを倍にした実験も行われました。
その結果、どちらの実験でも、ナットウキナーゼを飲むことで、ワーファリンの投与量による血液凝固作用の
変動幅が少なくなり、効果が安定する傾向が見られたのです。ワーファリンの副作用として知られる内出血も見られませんでした。
このように、サプリメントを上手に活用すれば、納豆が制限されている人でも安心して、
ナットウキナーゼを補給することができます。