排尿障害
(頻尿・尿漏れ・失禁・尿意切迫感)

尿意切迫感頻尿尿漏れ尿失禁などの排尿のトラブルを我慢すると、集中力が欠如したり、 外出が億劫になったりなどQOLの低下を招くので早めに対策を取りましょう。


■排尿障害(蓄尿障害)

軽い尿トラブルから過活動膀胱まで

すぐトイレに行きたくなる。
少しづつ尿が漏れてしまう。
クシャミをしたとたんに尿が漏れた。

など尿意切迫感、頻尿、尿失禁などの症状で悩む人が増えています。 他人にはなかなか話しにくいのが、排尿についての悩みです。 「命に関わるわけでもないし、痛みもない、たかがおしっこぐらいで」などと軽んじられてしまいがちですが、本人にとっては、深刻な問題です。 尿のトラブルを我慢すると、集中力が欠如したり、行動が制限されて外出が億劫になったり、眠れなくなるなど、 QOL(生活の質)の低下を招き、社会生活や心の健康にまで影響が出る場合もあります。 頻尿・尿漏れ・尿失禁・尿意切迫感は、年齢や体質、寒さのせいではありません。 膀胱の働きが悪くなる「蓄尿障害」という病気です。 国際禁制学会では、蓄尿障害の大きな要因である尿意切迫感(突然の我慢できないほど強い病的な尿意)に注目して、 尿意切迫感を主症状とする新しい病気「過活動膀胱」を定義付けました。 過活動膀胱は中高年の8人に1人が悩んでいる現代病です。

排尿障害


■女性の排尿障害

女性に圧倒的に多い「尿漏れ」

女性に多いのが「尿失禁」、 つまり尿漏れで、成人女性の4人に1人は経験しているといわれています。 男性は、尿道の長さが20~25cmあるのに対し、女性は4~5cmと短いことも漏れやすさに関係しています。 尿漏れは、起こる原因や漏れ方によっていろいろなタイプがありますが、最も多いのが「腹圧性尿失禁」。 クシャミや咳をしたとき、笑ったときなど、お腹に圧力がかかった拍子に、起こる尿漏れです。 骨盤の中で臓器を支えている骨盤底筋が弱ってきた場合、膀胱や尿道をしっかり支えられなくなるのが原因とされています。

妊娠や出産後、尿漏れを経験するケースはたくさんあります。 妊娠中は、胎児の重みで骨盤底が圧迫されやすく、また出産直後は、骨盤底筋が傷んだ結果、尿漏れを引き起こしやすくなるのです。 年齢を重ねると、骨盤底の筋力は徐々に低下します。またホルモンの関係や肥満によっても骨盤底の筋肉は緩んできます。 医療機関で相談する場合、泌尿器科はもちろん、尿失禁外来のある婦人科で受診してもよいでしょう。


■男性の排尿障害

男性の排尿障害は前立腺に多く起因

男性の排尿にまつわる悩みには、「前立腺肥大症」 が原因になる場合がしばしばあります。 症状は、尿が出にくい、尿に勢いがなくなった、何度もトイレに行きたくなるなど、 加齢によりホルモンがアンバランスになることも関係し、前立腺が肥大。尿道を圧迫されて排尿障害を引き起こすのです。 また前立腺肥大症から、過活動膀胱を起こすケースもあります。 前立腺肥大症は薬で改善することができます。自律神経からの指令をブロックし、尿道を広げて排尿しやすくするα1ブロッカーという薬や、 男性ホルモンの作用を抑制し、肥大を止める抗男性ホルモン剤などがあります。また、漢方薬も症状を和らげます。

◆前立腺

「前立腺」は男性だけにあるクルミ大の生殖器官です。膀胱のすぐ下にあり、中心を尿道が通っていて、精液の一部となる「前立腺液」を分泌しています。 この前立腺の組織が肥大し、尿道を圧迫して尿のトラブルを起こすのが「前立腺肥大症」です。 前立腺は尿道を取り囲むように存在するので、これが腫れることにより尿道を圧迫し、排尿を困難にします。
前立腺は、男性ホルモンの影響を受ける臓器です。 加齢に伴って男性ホルモンのバランスが崩れてくると、多くの場合、前立腺の尿道に近い部分にしこりのようなものができます。 このしこりが徐々に大きくなって尿道を圧迫し、さまざまな「排尿障害」が起こってくると考えられています。 前立腺に問題がなければ尿道の流れを妨げない程度に柔軟ですが、前立腺が硬くなれば尿道が締め付けられ、尿道の流れが妨げられます。


●前立腺肥大症

膀胱の筋肉は尿を流すためにある程度強くできていますが、 膀胱の筋肉が前立腺の硬さに勝てなくなり、尿の流れが著しく妨害されたときに深刻な問題が起こります。 前立腺肥大症の症状は、 頻尿、夜尿、尿の出し止めの困難、排尿時の痛み、灼熱感などの排尿障害があります。 前立腺肥大症は加齢とともに増える病気で、50代で約50%、70代で約70%の方が排尿障害を訴えています。 程度の差こそあれ、高齢の男性にはほぼ100%発症するため、男性の更年期障害、老化の現われといわれています。 現在、約80万人が治療を受けており、年々増えています。 また、食生活が欧米化して、日本人が動物性脂肪や肉などの動物性たんぱく質を摂取するようになったことも、 前立腺肥大症患者数の増加に関係していると考えられています。


●前立腺炎

前立腺炎は急性または慢性の前立腺の炎症で、 外部から前立腺に進入したバクテリアによって起こります。 この炎症は尿の残留を引き起こし、膀胱は膨張し、もろくなり、感染を受けやすくなり、さらに腎臓にも影響を及ぼします。 急性の前立腺炎は陰嚢と肛門の間の灼熱感と痛み、頻尿、血尿および膿尿等の症状を伴います。 慢性の 前立腺炎は、通常、頻尿や排尿時の灼熱感などの排尿障害、血尿、腰部の痛み、インポテンツ等の症状を伴います。