前立腺炎症候群

急性の場合は細菌が原因に。


■症状と特徴

前立腺に起こる炎症です。急性前立腺炎慢性前立腺炎があり、原因も細菌性のものと非細菌性のものとがあります。 排尿時の痛みや頻尿、残尿感、排尿しにくいなどのほかに、会陰部や骨盤の違和感や痛みを感じるなどの症状があります。


■急性前立腺炎

●症状と特徴

寒気や震えを伴う発熱が起こり、急激に全身症状がでます。下腹部や尿道、会陰部に痛みを感じ、排尿症状が激しく出ます。 濁った尿や血尿が出たり、膿が出ることもあります。 前立腺肥大症がある場合には、尿が全くでなくなってしまうこともあります。 検査の際に肛門から指を入れる前立腺の触診では、激しい痛みを感じますが、急性期にはこの検査は行いません。


●原因

尿道から侵入した細菌が前立腺に感染して発生します。主に大腸菌などのグラム陰性桿菌と呼ばれる細菌が原因となります。 前立腺肥大症や結石などが基礎疾患としてある場合もあります。


●治療

全身症状が強い場合には入院が必要です。抗菌薬の点滴を行う治療法が一般的です。残尿が多い場合には、カテーテルを挿入して排尿します。 また、水をたくさん飲んで尿量を増やし、細菌を排出するようにします。 完全に出なくなってしまった場合には、尿道留置カテーテルを使うか、下腹部に穿刺して(針を刺して)排尿できるように排尿路を作ります。 抗菌薬の点滴治療が行われた場合でも、体内で増殖した細菌を完全に取り除くために抗菌薬の内服を2~4週間続けることも必要です。 完全に治癒できないと、慢性前立腺炎に移行する場合もあります。


■慢性前立腺炎

●症状と特徴

全身症状が出ることは少なく、排尿痛や頻尿などが主な症状です。会陰部や下腹部、陰嚢に違和感があることも多くあります。 症状は穏やかで発熱もありません。


●原因

前立腺に細菌が感染して慢性化したものと、細菌の感染がない非細菌性のものがあります。 非細菌性の慢性前立腺炎にはクラミジアやマイコプラズマなど細菌ではない病原体が関与している可能性もありますが、 はっきりした原因がわからない場合もあります。 ストレスや免疫、骨盤底筋の緊張や骨盤内静脈のうっ血なども影響しているのではないかと考えられています。


●治療

薬物療法として、ニューキノロン系の抗菌薬の内服が4週間程度行われます。 また、排尿改善薬のa1ブロッカーや植物製剤が用いられる場合もあります。 水をたくさん飲む、体を動かして骨盤内のうっ血を防ぐ、射精によって前立腺分泌物を排出するなどの方法も効果があります。