尿失禁

尿失禁は、タイプによって治療法が異なります。


■症状と特徴

尿を膀胱内に溜めておく括約筋の障害などによって、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう状態を指します。
①腹圧性尿失禁
②切迫性尿失禁
③溢流性尿失禁
④真性尿失禁
⑤反射性尿失禁
この他にも尿道以外からの尿失禁など、さまざまなタイプがあり、その原因も病気や老化など、多岐にわたります。 タイプや原因によって治療法も異なるため、まずはどのタイプの尿失禁なのかを判断することが大切です。 そのためにも重要なのが問診です。既往症(分娩回数なども含む)や手術経験、持病(特に脊髄や骨盤や脳に関するもの、糖尿病など)、 服用している薬の有無の他、尿失禁が始まった時期や1日の排泄回数、尿意や痛みの有無などが重要なポイントとなります。
検査としては、尿検査のほかに、尿流動態検査、超音波やX線、内視鏡を使って器質的な問題を調べる検査、 尿漏れの量を測定するためのパッドテストなどが行われ、総合的に判断します。


●腹圧性尿失禁

◆症状と特徴

咳、くしゃみをしたときや重いものを持ちあげた時など、お腹に力がかかったときに尿漏れがみられます。 中高年女性に多いのが特徴です。

◆原因

出産や老化、骨盤内手術などによって、尿道括約筋骨盤底筋群の力が弱くなったことが原因です。 尿道括約筋や骨盤底筋群の機能不全が起こると、腹圧がかかって膀胱が押されただけで尿が出るようになります。

◆治療

骨盤底筋を鍛える体操を続けることによって、かなりの改善が見られます。 改善しない時は、テープで尿道を支えるスリング手術で骨盤底筋を増強する方法や薬物療法を行う場合もあります。

●切迫性尿失禁

◆症状と特徴

突然の激しい尿意を感じて、トイレに行くまで我慢できずに尿漏れを起こしてしまう状態です。 高齢者に多いのが特徴です。

◆原因

大脳の排尿中枢の障害が起こる脳血管障害や脳の動脈硬化症、 尿路に通過障害が起こる前立腺肥大症の他、 膀胱炎、前立腺炎などが主な原因となります。

◆治療

薬物療法が効果的です。 抗コリン薬、 三環系抗うつ薬、 カルシウム拮抗薬 などが用いられます。 他にも、排尿訓練を行う行動療法、手術、電気刺激療法、神経遮断法などを行う場合もあります。

●溢流性尿失禁

◆症状と特徴

排尿に障害があり、尿が膀胱に充満し、この充満した尿が溢れ出ることにより、少しずつ尿が漏れます。

◆原因

神経因性膀胱などによる排尿筋の収縮不全や、 前立腺肥大症や尿道狭窄による尿道の通過障害などが原因となります。

◆治療

原因となる疾患の治療を行います。他に、薬物療法や自己導尿法などを行う場合もあります。