尿トラブル『前立腺肥大症』

高齢の男性に尿トラブルが起きる原因の多くは、男性の生殖器官である「前立腺」が肥大して起こる『前立腺肥大症』です。 前立腺肥大症は、薬物療法などで改善することが可能なので、尿トラブルを”年のせい”とあきらめず、まずかかりつけ医に相談してみましょう。


■前立腺肥大症とは?

前立腺が大きくなって、尿の通り道を圧迫する

「前立腺」は、膀胱の出口に位置し、その中心を尿道が通っています。 男性特有の生殖器官で、精液の一部になる「前立腺液」を分泌し、精子の運動能力を高めたり、 精子を保護したりしています。 形や大きさは健康な若い人では栗の実ほどの大きさで、重さは健康な成人男性で約20gです。 前立腺は前立腺液を分泌する働き以外に、前立腺の筋肉などで排尿や射精をコントロールする働きもしています。

男性は、中年期を過ぎる頃から、尿トラブルがある人が増えてきます。 尿トラブルを起こす主な前立腺の病気には「前立腺肥大症」「前立腺がん」「前立腺炎」などがありますが、 多くの場合、尿トラブルの原因となっているのは「前立腺肥大症」です。 前立腺は、尿道の周囲の「内線」と、前立腺液を作る「外線」という2つの領域に大きく分けられ、 前立腺肥大症は、内線に小さなしこりのようなものができ、 それが徐々に大きくなって尿道を圧迫し、尿トラブルを引き起こす病気です。

前立腺肥大症は、加齢に伴って前立腺が肥大して、膀胱の出口部分の尿道が圧迫され、 「尿の出が悪い」「頻尿」「残尿感」などの排尿・蓄尿障害が現れる病気です。 こうした症状が現れると、「前立腺肥大症」と診断されます。 肥大が進行すると、尿が出きらずに膀胱にたまる「残尿」が増え、 尿が出なくなる「尿閉」を起こすこともあります。 症状が現れる仕組みは、大きく分けて、肥大した前立腺による「機械的閉塞」と、 排尿にかかわる筋肉の収縮による「機能的閉塞」の2つがあります。

前立腺の肥大は加齢とともに進み、60歳の男性では50%以上に、85歳までには約90%の男性に前立腺の肥大がみられます。 そのうち、400万人程度が尿トラブルに悩んでいるといわれています。 前立腺肥大の原因は加齢で、それ以外に体質や生活習慣も関係するといわれています。 基本的には、前立腺肥大症はそれ自体が命を脅かす病気ではないので、治療は患者の自覚症状を重視し、 I−ISSなどによる重症度の判定を基本に、日常生活での差し障りや患者の希望などに応じて選択します。


【男性の排尿の仕組み】


尿をためる”蓄尿機能”と尿を排出する”排尿機能”は、主に膀胱と前立腺が担っています。 さらに、膀胱の筋肉、膀胱の出口にある「内尿道括約筋」、前立腺の下にある「外尿道括約筋」、 前立腺の筋肉がそれぞれ協調して、排尿をコントロールしています。 膀胱に尿をためるときは、膀胱の筋肉が緩んで広がります。その一方で、尿道括約筋(内尿道括約筋、 外尿道括約筋)や前立腺の筋肉は収縮し、尿が漏れるのを防ぎます。 膀胱にたまった尿が一定の量を超えると、今度は尿を排出しようとして膀胱が収縮します。 それと同時に、尿道括約筋前立腺の筋肉が緩み、尿が尿道を通って排出されます。


■日常生活の注意

姿勢などに気をつけて骨盤内の血行悪化を防ぐ

骨盤内の血行が悪くなると、症状が現れやすくなります。日常生活で骨盤内の血行悪化を防ぐことが、 症状の悪化防止につながります。 お酒の飲みすぎは、骨盤内の血行を悪化させるので注意しましょう。 また、風邪薬や鎮痛薬などの薬の服用がきっかけで、尿閉が起こることがあります。 他の病気で受診した場合は、担当医に前立腺肥大があることを必ず伝えましょう。 長時間座り続ける場合も、骨盤内の血行を悪化させます。 長時間のドライブやマージャンなどには、十分注意してください。