三環系抗うつ薬・四環系抗うつ薬
『三環系抗うつ薬』『四環系抗うつ薬』は、 長い間鬱病(うつ病)の薬物療法の中心であった薬で、 三環系抗うつ薬には、古くから使用されてきた「塩酸イミプラミン」「塩酸アミトリプチリン」 「塩酸クロミプラミン」「塩酸ノルトルプチリン」、1980年以降に使われるようになった 「塩酸ロフェプラミン」「アモキサピン」「塩酸ドスレピン」などの薬があり、 四環系抗うつ薬には、「塩酸マプロチリン」「塩酸ミアンセリン」「マレイン酸セチプチリン」などの薬があります。
■三環系抗うつ薬
三環系抗うつ薬は、主にセロトニンとノルアドレナリンの再取り込み阻害作用により、 神経伝達機能を改善し、抗うつ効果をもたらす薬です。最も強力な作用を持つ抗うつ薬ですが、 抗うつ作用にかかわるセロトニンやノルアドレナリンばかりでなく、 「アセチルコリン」や「ヒスタミン」などの神経伝達物質にも作用するため、 それが副作用として現れてしまい、治療がうまくいかない原因になります。 ただ、重症の鬱病(うつ病)によく効き、長年使われてきた薬だけに、 治療効果に関する情報や使い方の技術も蓄積されているため、現在でもしばしば用いられています。
●副作用・使用上の注意
注意しなければならないのは「起立性低血圧」です。転倒して大きなけがにつながることもあるので、 立ちくらみを感じたら、すぐに医師に相談してください。心臓に影響して危険な不整脈が起こることもあるので、 心電図検査などによる定期的なチェックが必要です。 また、アセチルコリンの働きが抑制されるために起こる「抗コリン作用」により、 口が渇く、便秘、排尿困難、目の調節機能障害(物が二重に見える)などの副作用が現れることがあります。 「抗ヒスタミン作用」による眠気やだるさが起こることもあります。
■四環系抗うつ薬
ノルアドレナリンへの作用が中心の薬で、主にノルアドレナリンの再取り込みを阻害する
「塩酸マプロチリン」、ノルアドレナリンの放出を促進する「塩酸ミアンセリン」
「マレイン酸セチプチリン」という薬があります。
後二者の場合、抗うつ作用はあまり強くないので、単独で抗うつ薬として用いるというよりも、
不安や焦燥感を鎮めたり、眠気を伴うことから睡眠薬代わりに併用するような使い方がよく行なわれます。
●副作用・使用上の注意
古くから使われている三環系抗うつ薬に比べれば軽減されていますが、同様の副作用が起こることがあります。