【質問】神経因性膀胱の導尿について教えてください

以前から尿が近く、3年ほど前に泌尿器科を受診したところ、膀胱が風船状態で 神経因性膀胱と診断されました。 自己導尿を勧められましたが、カテーテルが尿道につかえてうまくいきませんでした。 現在は4週間に1回、バルーン装着による導尿をしていますが、感染症などのリスクがあると聞き、心配です。 担当医には、おなかから膀胱に直接管を挿して導入する方法もあると勧められていますが、どのようにするのがよいのか、アドバイスをお願いします。
●72歳・男性
●使用中の薬はなし


【答】

詳細はわかりませんが、ご質問の内容から何らかの原因で膀胱の収縮がうまくいかないために重度の 排尿障害があると推測されます。 このような場合は、ご質問にもあるように「自己導尿」を行う必要がありますが、「尿道カテーテル留置」を行い、 ひと月に一度、交換されているのだと推測します。 長期間の尿道カテーテル留置により、尿道の損傷や感染を繰り返す場合は、「膀胱瘻」というおなかから膀胱に直接カテーテルを挿入し、留置することもあります。 しかし、この場合も、やはり尿路感染や挿入部位の感染が起こることがあります。 したがって、現在の尿道カテーテル留置であまり不都合がなければ、必ずしも膀胱瘻を作る必要はないと思います。 いずれにしてもカテーテルの留置は、感染などの合併症の問題に加えて、患者さんの生活の質が損なわれますので、基本的には最後の手段と考えてください。 むしろ、本当に自己導尿やご自分で排尿することができないのかを、もう一度確認することが必要です。 自己導尿でカテーテルがうまく膀胱に入れられなかったとのことですが、カテーテルにはいくつかのタイプがあります。 前立腺肥大症などのために通常のカテーテルが挿入しにくい場合でも、適切なものを選択したり、潤滑油を使用したりすると、 挿入できるようになる場合もありますので、担当医に相談されるとよいでしょう。 また、排尿障害ですが、少しでもご自分で排尿ができるのであれば、残尿がどれくらいあるのかを調べてもらってください。 α遮断薬などの排尿障害を改善する薬の服用で、膀胱に溜まった尿の半分以上をご自分で排出できれば、 自己導尿やカテーテル留置が不要になる可能性もあります。 重度の排尿障害の場合でも、超音波検査や尿流動検査(尿道に細いカテーテルを挿入して、注水しながら膀胱と尿道の機能を調べる検査)、 また、膀胱顕微鏡などで排尿障害の原因をよく調べると、手術(男性の場合、尿道から内視鏡で前立腺を切除する) を行うことで排尿できるようになるか予測することができます。 一度このような検査ができる泌尿器科の専門医を受診して調べられることをお勧めします。

(この答えは、2017年8月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)