【質問】昼夜関係なく汗をかきます
2年前に前立腺癌の「小線源療法」を受け、
併せて「ホルモン注射」を2年間打ちました。現在は経過観察中です。
相談したいのは、ここ半年ほど汗がひどく、昼夜に関係なく汗をかくことです。
日中に2~3回、夜間も2~3回汗をかくのですが、どこか悪いのでしょうか。
●78歳・男性
●COPDで定期的に検査を受けている
【答】
ご質問者が2年前に受けられた「小線源療法」は、 前立腺癌を根治させる目的で行う放射線療法のうちの一つです。 通常は、放射線同位元素(ヨウ素125)を密封した約4.5×0.8mmの小さなチタン製カプセル(小線源)を50~100個ほど前立腺内に埋め込んで、 小線源から放出される放射線によって前立腺癌を治療します。 前立腺癌は男性ホルモンの刺激によって増殖するので、小線源療法を行う際には、前立腺の大きさを縮小して埋め込む小線源の数が少なくて済むようにするため、 あるいは、相乗効果によって治療効果を高めるために、男性ホルモンの分泌を抑える「ホルモン療法」を併用することがあります。 ホルモン療法の方法としては、LH-RH(黄体ホルモン放出ホルモン)の類似物による注射が行われるのが一般的です。 この注射によって、精巣(睾丸)から分泌される男性ホルモン(テストステロン)が抑えられます。 すると、前立腺癌および前立腺の正常細胞が死滅して、前立腺は小さくなります。
ご質問者は、このLH-RH類似物の定期的な注射を2年受けてきたと思われます。 ホルモン療法の副作用の一つとして、 更年期障害に似た症状が出ることがあります。 ホットフラッシュといって顔や体のほてり・のぼせや発汗などの症状が日に何回か急に起こります。 これは、血管の収縮や拡張をコントロールしている自律神経の乱れによって生じるとされています。 この副作用が起こる頻度や程度には個人差があります。 ご質問者の場合、ホルモン注射はすでに終了されているようですが、注射の効果はまだ続いていることが考えられます。 注射の効果がなくなって男性ホルモンが分泌されるようになれば、現在お困りの症状はよくなることが期待されます。 ただし、回復までにかかる時間は、数ヵ月~数年と人によって大きく違います。 一般に年齢が高い方やホルモン注射の期間が長かった方は、回復までの時間が長くなる傾向があります。
症状の緩和に繋がる食事や生活習慣に関してですが、ホットフラッシュを誘発するような香辛料の強い食事やストレスなどを避ける工夫は有効です。 また、ほてりや発汗を抑える効果のある漢方などの薬物療法もありますので、担当医に相談してみるとよいでしょう。
(この答えは、2019年4月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)