【質問】尿道口に小豆大のできものがあります

5~6年前から尿道口付近に小豆大のできものがあります。 最近、出血が見られたので病院へ行き、「尿道カルンクル」と診断されました。 塗り薬を使用していますが、よくなりません。 できものを除去する手術をすると、排尿に影響が出ると言われました。 このまま放置してもよいのでしょうか?
●67歳・女性


【答】

「尿道カルンクル」は、尿道口にできる良性腫瘍です。 「カルンクル」という言葉は”小さな肉の盛り上がり”を意味します。 閉経後の女性の尿道の肛門側に、表面が粘膜のようにツルっとした、ピンク色から赤色の腫瘤(できもの)が形成されるのが特徴です。 腫瘤の大きさはさまざまです。 婦人科検診で偶然見つかるほか、下着に小さな出血が付くなどの理由で受診されて見つかることもあります。 尿道カルンクルは良性疾患ですが、手術を必要とした症例では、約2%に悪性腫瘍が発見されたという報告があります。 「悪性黒色腫」や「平滑筋肉腫」といった悪性疾患との鑑別のためにも、泌尿器科を受診することをお勧めします。

治療に関してですが、無症状のものは治療の必要はありません。 腫瘤が大きくなり、下着でこすれることなどによって出血して感染を起こすと、 痛みが生じたり、尿道カルンクルを含む尿道口がむくむために尿が出にくくなったりすることがよくあります。 そのような場合には治療が必要になります。

尿道カルンクルができる理由は明らかではありませんが、女性ホルモンの分泌低下が原因ではないかと推測されています。 欧米では女性ホルモン剤の投与が行われることがありますが、日本では塗り薬(ステロイド薬や非ステロイド抗炎症薬)による治療(局所療法)が行われます。 局所療法で十分な効果が得られない場合や、尿道カルンクルが痛みや排尿障害の原因となっている場合は、「腫瘤切除術」を検討します。 腫瘤切除術は、局所麻酔や下半身麻酔で行われます。 腫瘤を切除し、溶ける糸で尿道と縫い合わせ、尿道にカテーテルを挿入して手術を終了します。 手術時間は30~1時間程度です。 翌日には尿道カテーテルを抜いてご自分で排尿していただきます。 手術後の排尿障害は、全くないとは言えませんが、一時的なものであることが多く、手術した部位の浮腫(むくみ)が取れれば治ります。

(この答えは、2020年8月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)