質問:前立腺癌の治療について教えてください

約10年前に高リスクの「前立腺癌」と診断され、 ホルモン療法を受けました。 『PSA(前立腺特異抗原)』はいったん正常値に戻りましたが、再び上昇したので、昨年、重粒子線治療を受け、PSA値は2ng/mL台です。 ところが最近、またPSA値が上昇し、現在は6ng/mL台です。今後はどのような治療が適切でしょうか。 抗癌剤治療は、副作用が心配で躊躇しています。


【答】

「ホルモン療法」を継続していると、男性ホルモン(テストステロン)が低い状態が維持されているにも関わず、いずれ効かなくなることがあります。 これを「去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)」といいます。 ホルモン療法を開始してCRPCになるまでの期間は、グリソンスコアや診断時のPSAの値が低いものほど長く、 逆に高いものほど短くなる傾向があります。 CRPCになった場合は、原発巣に対する放射線治療は無効なことも多く、また、画像に反映されないような小さな転移が既に存在することもあります。 以前はCRPCに対する効果的な治療法がありませんでしたが、最近は治療薬がいくつか登場し、国内でも保険診療として使用可能です。 ホルモン製剤としてはアビラテロン、エンザルタミド、化学療法薬(抗癌剤)としてはドセタキセル、カバジタキセルがあります。 また、骨転移に対しては、塩化ラジウム223もあります。 これらすべてにCRPCに対する効果があることが確認されていますが、完全に治癒させるには至っていません。 ご質問者はホルモン療法を行った後もPSA療法を行った後もPSAが測定値限界値以下までは低下せずにCRPCになったようです。 年齢やご本人のお考えに沿うと、化学療法の実施は適切ではないかもしれません。 まずは注射によるホルモン療法を再開し、併せてアビラテロンやエンザルタミドの内服を開始することが勧められます。 食欲不振や倦怠感などの副作用が強く出れば、薬の量を減らすことも可能です。 骨転移が出現すれば塩化ラジウム223の使用が勧められます。これは自覚的な副作用が比較的少ない治療法です。 また、いくつかの排尿症状があるようですが、前立腺はこれまでの治療で縮小していると思われるので、尿道の放射線障害によるものかもしれません。 この場合はα1遮断薬が効果的なこともありますので、担当医に相談して試してみるとよいと思います。

【関連項目】:『前立腺癌の治療』

(この答えは、2019年5月現在のものです。医療は日々進歩しているので、後日変わることもあるのでご了承ください。)