■就寝中の尿漏れ。原因は何ですか?

60歳代後半より、就寝中に尿が漏れます。日中は特に異常はありません。 以前、総合病院で膀胱の検査を受けましたが、異常はありませんでした。 その後、泌尿器科で処方された薬を服用しましたが、よくならないので現在は飲んでいません。 2〜3ヵ月ほど前から八味地黄丸を飲んでいますが、やはり効き目はないようです。 原因がわからないので困っています。
(84歳・女性;140cm・44kg)


【答】

就寝中の尿漏れ(尿失禁)の原因で最も多いのは 「過活動膀胱」です。 過活動膀胱では急な尿意(尿意切迫感)が起こり、日中も夜間も頻尿になります。 女性では60%強でトイレに間に合わずに尿を漏らしてしまう「切迫性尿失禁」が見られます。 原因としては、脳梗塞の後遺症、 パーキンソン病、脊髄・脊椎疾患など神経系の障害で起こるものが約20%、 神経系の障害とは関係なく起こるものが約80%とされています。

ご質問者は日中には尿失禁がないようですが、これは尿意を感じたらすぐにトイレに行くようにしているために漏らさないでいるだけかもしれません。 しかし、泌尿器科で投薬治療を受けられたとのことですので、過活動膀胱の薬はすでに服用している可能性があります。 それで効果がなかったとすると、過活動膀胱ではなく、「夜間多尿」に関連する夜間尿失禁かもしれません。 高齢になると、いろいろな原因で夜間の尿量が増えることがあります。 例えば、夕方以降に下肢がむくむが、起床時には改善されている場合は、むくみを引き起こしている水が尿になっていると考えられ、 「潜在性うっ血性心不全」などの可能性があります。 また、イビキが大きく睡眠中に何度も息が止まる場合は 「睡眠時無呼吸症候群」の可能性があり、 これも夜間多尿の原因になります。 さらに、高血圧がきちんと治療されていない場合も、夜間の尿量が増えることがあります。 夜間多尿のある人が、疲れてぐっすり眠りこんだり、睡眠薬を服用したりすると、尿意があっても目覚めにくく、漏らしてしまうことがあるのです。

夜間多尿かどうかは、「排尿日誌」を2〜3日付けるとわかります。 「就寝後にトイレに起きた時の排尿量の合計+夜間の尿失禁量+起床時排尿量」が、24時間尿量の33%以上であれば、夜間多尿です。 夜間多尿であれば、その原因に対する治療が必要です。 そのほかにも、コントロール不良の 糖尿病や骨盤内手術後や、 臀部の帯状疱疹などで、 膀胱の知覚や収縮力が低下する「神経因性膀胱」では、尿意に気付かず、寝ている間に尿が溢れ出てしまう 「溢流性尿失禁」が起こることがあります。

このように、就寝中の尿失禁の原因はさまざまです。一度、排尿機能を専門とする泌尿器科医(日本排尿機能学会認定医など) を受診されることをお勧めします。

(この答えは、2019年3月現在のものです。医療は日々進歩しているので、後日変わることもあるのでご了承ください。)