【質問】

緑内障のタイプによって治療法が違うのですか?


【答】

眼球の中にある房水は、毛様体から分泌され、隅角から排出されています。 この分泌と排出のバランスによって、眼圧は一定範囲内に保たれています。 ところが隅角が詰まるなどして房水の排出が滞ると、眼圧が高くなり、視神経乳頭が圧迫されて視神経が障害されます。 また、視神経の強さには個人差があるため、眼圧が正常範囲内でも視神経乳頭が障害されることがあります。こうして起こるのが「緑内障」です。 緑内障は、隅角や視神経の状態などによって、大きく次のようなタイプに分けられ、それぞれ治療法が異なります。

▼閉塞隅角緑内障
隅角が閉じているために房水の流れが滞り、眼圧が高くなる。

▼開放隅角緑内障
隅角は開いているが、付近の網目状の組織が目詰まりを起こして房水が流れにくくなっているため、眼圧が高くなる。

▼正常眼圧緑内障
開放隅角緑内障の一つ。隅角は開いていて、眼圧も正常範囲内だが、視神経が障害されている。

▼続発緑内障
他の目の病気や全身の病気などに伴い、眼圧が高くなる。

◆隅角が閉じているタイプの緑内障の治療と注意すべき薬

閉塞性隅角緑内障に対しては、基本的に手術が行われます。房水の流れが滞っていて、眼圧が急激に上がりやすいためです。 閉塞性隅角緑内障のある人は、他の病気で使う薬の中に注意すべきものがあります。 その一例が「抗コリン薬」と呼ばれる薬です。 睡眠薬として使われているほか、風邪薬に含まれていることもあり、胃や腸の内視鏡検査をするときにも使われます。 抗コリン薬は眼圧を下げる可能性があるため、使用できません。 他科の医師には必ず緑内障があることを伝えて相談してください。

◆隅角が開いているタイプの緑内障の治療

開放隅角緑内障に対しては、基本的には点眼薬による治療を行いますが、それで十分に眼圧が下がらない場合には、手術が選択されることがあります。 開放隅角緑内障の場合、閉塞性隅角緑内障のように他の病気で使う薬に関して特に使えないものはありません。

◆ステロイド薬には注意が必要

緑内障のタイプに関わらず、「ステロイド薬」の使用には注意する必要があります。 ステロイド薬によって眼圧が上昇することがあるからです。 内服薬だけでなく外用薬の場合も、部位に関わらず影響が現れることがあります。 長期間使用する場合には、眼科で眼圧のチェックを受けましょう。


治療が必要と判断されるとき
緑内障のタイプ
タイプ別緑内障の手術

(この答えは、2020年3月現在のものです。医療は日々進歩しているので、後日変わることもあるのでご了承ください。)