骨粗鬆症

骨粗鬆症』とは、「骨の密度が低下して、骨折しやすくなる病気」です。 女性では閉経を迎えるころから、男性ではそれより10年ほど遅れて増え始め、高齢になるほど多くなります。 骨粗鬆症と診断される患者数は推定で年間97万人。そのうち女性が81万人。 更年期以降の女性に多く、高齢になるにつれ、男性にも増えてきます。


■「骨粗鬆症」とは?

骨折しやすくなり、それが原因で寝たきりになることもある

『骨粗鬆症』は、骨量が減少して、骨の中の微細な構造が粗く「鬆」が入ったようにスカスカになって、 全身の骨が弱くなり、骨折しやすい状態になる病気です。 骨の内部には、数多くの小さな骨(海綿骨)がスポンジ状に詰まっています。 骨粗鬆症で骨が弱くなると、これらの小さな骨が細くなり、あちこちで折れてしまいます。 すると、スポンジ状の構造が変化して粗くなり、強度が低下して骨折が起こりやすくなるのです。

骨粗鬆症は、すぐに症状が現れるわけではありませんが、放っておくと、もろくなった骨はちょっとしたことで骨折するようになります。 背骨や腕、手首や腕の付け根の骨折を起こしやすく骨折が起これば、日常生活にも支障を来たします。、 特に、高齢者が転倒などにより、起立や歩行の要となる太腿の付け根(大腿骨頚部)を骨折すると、 それが原因となって寝たきりになることも少なくないため、深刻な問題です。 そのため、骨粗鬆症が疑われる場合には、早めに受診し、治療を受けて骨折を防ぐことが重要です。 「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2006年版」でも、「早めに治療を開始する」ことが勧められています。

骨粗鬆症は加齢に伴って起こることが多く、国内の患者数はおよそ1000万人と推計されています。 骨粗鬆症は、一般に男女ともに50歳代から起こりやすくなります。 特に更年期以降の女性に多く、70歳代の女性では、約半数に骨粗鬆症があると考えられており、 高齢になるにつれ、男性にも増えてきます。


■骨粗鬆症の原因

骨吸収と骨形成のバランスが崩れると骨の強度が低下する

骨は、絶えず古い骨が破壊され、新しい骨が作られて、生まれ変わっています。 このような破壊と再生を「骨代謝」といいます。 骨も新陳代謝を繰り返すことで、強さとしなやかさを保っています。 骨代謝の中心的役割を担っているのが「破骨細胞」「骨芽細胞」です。 骨が古くなると、そこに破骨細胞が集まってきて、骨を溶かし破壊していきます。 これを「骨吸収」といいます。その後、骨芽細胞が壊れた部分に骨を作って修復し、新しい骨に再生させます。 これを「骨形成」といいます。 骨の破壊と再生がバランスよく行われていれば、骨は健康な状態を保てます。 しかし、加齢など何らかの原因でバランスが崩れ、骨の破壊に再生が追いつかなくなると、 骨量が減って骨がもろくなる骨粗鬆症が起こりやすくなります。 健全な骨の内部はスポンジ状の構造になっており、数多くの小さな骨が縦横に連なるように存在し、 強度を保っています。これらの小さな骨が細くなって、スポンジ状の構造が粗くなると、骨の強度が低下します。 これが骨粗鬆症です。 また、骨の構造は、主原料であるカルシウムなどをコラーゲンがつなぎ合わせることによって保たれています。 コラーゲンの働きが低下すると、骨質が劣化します。さらに最近では、全身の代謝状態も骨の強度に関与すると考えられています。

●女性ホルモンの影響

女性ホルモンの1つ「エストロゲン」には、破骨細胞の働きを抑えるなど、骨代謝のバランスを 調節する重要な役割があります。女性の場合、20歳から40歳くらいまでは骨代謝のバランスがほぼ保たれています。 しかし、50歳前後の閉経の頃から、女性ホルモンの分泌低下に伴い、骨量が減少します。 一般に閉経前後約10年間は、骨量が年間2〜3%ずつ減少するといわれています。 人によっては4%と、通常より早く減少することもあるので、注意が必要です。


■骨粗鬆症の症状

骨折が起こりやすくなる

骨粗鬆症の初期には、自覚症状がほとんどありません。しかし、気付かないうちに骨は徐々に弱くなっていきます。 背骨は、円柱状の「椎体」と複雑な形をした「椎弓」からなる骨が積み重なってできています。 しかし、骨粗鬆症が進み、骨の強度が低下すると、スカスカになった椎体が重みに耐えられなくなり、 圧迫骨折が起こり、背骨(椎体)がつぶれることがあります。 その結果、「背中が丸くなる、腰が曲がる、身長が縮む、腰や背中が痛む」などの症状が現れることがあります。 また、全身の骨が弱くなって、特に太腿の付け根や手首、肩などの骨が骨折しやすくなります。 通常なら骨折しないような軽い力が加わっただけでも、骨折することがあります。


■骨粗鬆症のタイプ

骨粗鬆症は、骨代謝のバランスの崩れ方により、2つのタイプに分けられます。

▼高回転型
骨形成は活発に行われていますが、骨吸収がそれを上回るために骨量が減ってしまいます。 主に、閉経後の女性に多く見られるタイプです。

▼低回転型
骨吸収も骨形成も低下していて、特に骨形成がより低下しているために骨量が減るタイプです。 新陳代謝が低下する高齢者に多く見られます。

どちらのタイプの骨粗鬆症に属するかは血液検査や尿検査で「骨代謝マーカー」 を測定することによって調べることができます。


■女性と骨粗鬆症

女性ホルモンの1つ「エストロゲン」には、破骨細胞の働きを抑えるなど、骨代謝を正常に保つ働きがあります。 女性の場合、閉経して女性ホルモンの分泌が減少すると、骨代謝のバランスが崩れ、骨粗鬆症が起こりやすくなります。 65歳以上の女性の半数以上は骨粗鬆症の可能性があり、75歳以上になると、 骨折しやすい状態まで骨粗鬆症が進行している人が少なくないと考えられています。 女性の場合、閉経後約10年間は、通常、骨密度が年間2〜3%減少するといわれていますが、 人によっては4%以上と、通常より減少の速度が速いこともあり、その場合は特に注意が必要で、 骨量測定を半年に1回程度行う必要があります。


■高齢者と骨粗鬆症

高齢者には、骨粗鬆症の人が多く、骨が弱くなっています。 また、年をとると筋力や体のバランスを保つ能力が低下したり、視力が低下して、 日常生活の何気ない場面で転倒しやすくなります。弱くなった骨は、ちょっとした転倒でも簡単に骨折してしまうので、注意が必要です。 高齢者が骨折すると、それをきっかけに「QOL(生活の質)」が低下したり、 生活の自立度が低下して、介護が必要になることが少なくありません。 そうなると、骨折した本人がつらい思いをするだけではなく、家族にもさまざまな負担がかかります。