骨粗鬆症治療の薬③『骨代謝のバランスを整える薬』
『骨代謝のバランスを整える薬』には、カルシウム製剤、活性型ビタミンD3製剤などがあります。
■骨代謝のバランスを整える薬
●カルシウム製剤【総合評価「C」】
骨の主成分であるカルシウムを補う薬で、カルシウム不足の場合に勧められ、
ビタミンDが不足している場合、特に効果が期待できます。
「カルシウム」は骨の主要成分で、骨を強くするのに欠かせません。
成人で1日600mgの摂取が必要とされていますが、骨粗鬆症の人は、
1000mgくらいとったほうがよいともいわれています。
食事だけではなかなか難しいので、カルシウム製剤で補います。
「カルシウム製剤」は骨粗鬆症の薬物療法の基本となる薬ですが、
この薬だけでは十分な骨量増加や骨折予防の効果を得ることは期待できないので、
医療機関での治療では、他の薬と併用します。通常は、1日2~3回です。
総合評価は「C」。
【服用上の注意】
「カルシウム製剤」は、一部の抗菌薬と一緒に服用すると、抗菌薬の吸収が悪くなることがあります。 また、高カルシウム血症、腎不全、腎結石のある人は使えません。
●活性型ビタミンD3製剤【総合評価「B」】
「ビタミンD」は、腸からのカルシウムの吸収を助ける働きをもち、骨を強くするのに重要な栄養素です。
食品から取り入れるほか、日光に当たると体内でも合成されます。
ただし、ビタミンDは肝臓と腎臓で活性化されないと、骨に作用することができません。
そこで、活性化させたビタミンDを体外から補充しようというのがこの薬です。
「活性型ビタミンD3製剤」は、ビタミンDを体内で吸収されやすい形に合成したもので、
食事で十分なビタミンDを摂れない場合に勧められます。
カルシウムの吸収を促進して、骨の破壊を抑制し、骨の再生を促進する作用があります。
また、ふらつきを軽減して転びにくくなる効果があり、転倒による骨折の予防にもある程度役立ちます。
広く用いられていますが、特に高齢者に向く薬です。
総合評価は「B」。
【副作用】
カルシウム製剤や一部の降圧薬と併用すると、血液中のカルシウム濃度が高くなる 「高カルシウム血症」を起こすことがあります。薬をやめればすぐに元に戻りますが、 高カルシウム血症の状態が長期間続くと、腎障害などが起こることもあります。 そのため、服用している間は、半年に1回くらい血中と尿中のカルシウム値をチェックする必要があります。 この薬を飲んでいる人は、カルシウムのサプリメントなどを利用する場合も医師に相談する必要があります。
【服用上の注意】
服薬は通常1日1回ですが、2~3回に分けることもあります。副作用を出さずに効果が得られる 服用量の幅が狭い薬なので、指示された量より多く飲むのは禁物です。飲み忘れて 量が減る分には危険はありませんが、指示量以上に飲むと危険です。 また、常日頃から水分を十分に取る必要があります。尿中のカルシウム濃度が高くなると、 結晶ができて腎機能を悪くする恐れがあります。特に暑い時期は脱水に注意が必要です。