■イソフラボン

女性ホルモン「エストロゲン」に似た構造を持つ

「大豆」には、これまであまり知られていなかった食品中の微量成分の レシチン、コリン、サポニンなど、体にいい成分が次々発見され、生活習慣病の予防に役立つことがわかりました。 なかでも女性ホルモンに似た働きをする成分として最近注目されているのが『イソフラボン』です。 イソフラボンは、マメ科の植物に含まれる「フラボノイド」(植物の色素成分)の一種で、 大豆や大豆製品に豊富に含まれています。イソフラボンは、女性ホルモンの「エストロゲン」 と化学構造がよく似ていますが、体内でエストロゲンより穏やかな働きをします。 エストロゲンは女性に生理を起こさせるだけでなく、女性の美しさとも関係の深いホルモンです。 女の子の肌が思春期の頃から急にきめ細かくなってしっとりしてくるのも、 バストが出てウェストが締まり、体つきが全体に丸みを帯びてくるのも、 実はエストロゲンの働きによるところが大きいのです。



●イソフラボンの効果

▼イソフラボンと更年期障害
のぼせ、ほてり、心悸亢進、発汗、冷え性、憂うつ感、焦燥感、不眠、耳鳴り、記憶力・判断力の低下、 しびれ、下痢、頻尿、肩こり、腰痛、全身倦怠感などの更年期障害は女性ホルモンの不足が引き金となりますので、 女性ホルモン作用をもつイソフラボンはおおいに有効です。

▼イソフラボンと骨
牛乳などでカルシウムを摂取しても、女性ホルモンの分泌が少ないと、 骨の中のカルシウムはどんどん溶け出していってしまいます。 イソフラボンは骨からカルシウムが溶け出すのを防ぎ、骨の密度を保ちます。

▼イソフラボンと骨粗鬆症
骨粗鬆症は閉経後の女性に多い病気ですが、閉経後に起こりやすくなるのは、 女性ホルモンのエストロゲンの不足によります。 エストロゲンは、骨から溶け出すカルシウム量を抑えて骨を保護する役目をしています

▼イソフラボンとガン
イソフラボンは女性ホルモンの欠乏を補うと同時に、女性ホルモンの分泌過剰に対してはそれを抑える 方向に働きますので、女性ホルモン過剰が引き金となる乳がんの予防にも役立つことが明らかにされています。 乳がんと同じようにホルモン依存型である前立腺がん、子宮がんに対しても、イソフラボンは効果的に働くと考えられています。 また、イソフラボンにはがんが作り出す新生血管の阻害活性、抗酸化作用なども報告されていますので、 乳がんや前立腺がん以外にも、大腸がん、肺がん、肝臓がん、胃がん、白血病などの 多くのがんの予防に対する有効性が期待されています。

▼イソフラボンと動脈硬化
血液中のコレステロール、特に「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールの増加が動脈硬化を促します。 一方、「善玉」と呼ばれるHDLコレステロールは悪玉を減らす作用があるのですが、 イソフラボンは悪玉を減らすうえに善玉を増やすという理想的な実験結果を出しています。

▼イソフラボンと美容
イソフラボンは女性らしい体をつくるエストロゲンと同様の働きがあり、美白作用、保湿性の向上といった 肌の美容効果も認められています。ほかにも豊胸効果(バストアップ)や生理不順の改善など、 女性にうれしい作用があります。

▼その他
イソフラボンは、その女性ホルモンの激減を緩和します。

●イソフラボンの美容効果

エストロゲンの分泌量が減ってくる30代の後半から、肌荒れや小じわ、 しみなどの肌のトラブルに悩む女性が増えてきます。また、体型も変わってきます。 バストやヒップの張りがなくなり、ついてほしくないところに皮下脂肪がついてくるのです。 これは、女性ホルモンのエストロゲンが減少することによります。 こういった変化を少しでもくい止めるためには、体外からエストロゲン様物質大豆イソフラボンを 補給するすることが有効と考えられます。 大豆イソフラボンは昔から自然に摂り続けてきた食品の成分で、穏やかな作用をしますから 従来の女性ホルモン投与の様な副作用の心配もありません。

最近では美肌作りやボディケアといった化粧品にもイソフラボンが活用され始めています。 たとえば大豆イソフラボンは、皮膚でメラニンがつくられるのを抑える効果があることが、 マウスの細胞を使った実験で証明されました。 メラニンはご存知のように、シミやくすみの原因になる物質です。 ですから、イソフラボンが配合された化粧品は、美肌効果が期待できます。 肌荒れも女性の悩みの一つですが、イソフラボンを人の正常な皮膚に塗ってみると、 皮膚の表面から水分が失われるのを防ぎ、角質層に水分を保つことかわかりました。 つまり保湿作用が期待できるのです。また、皮膚を作っているのは、コラーゲンというタンパク質です。 コラーゲンの代謝活性が低くなると皮膚の弾力性がなくなり、皮膚の老化へつながります。 ところが、イソフラボンを塗ると、女性ホルモンと同じように、 コラーゲンの代謝活性が向上することもわかってきました。


●イソフラボンの婦人科癌予防効果

イソフラボンが体内に入ると、エストロゲンより先回りして細胞の受容体と結合します。 その結果、エストロゲンが受容体と結合するのを防いで、エストロゲンの過度の働きを抑える効果を発揮してくれるのです。 これまでの研究によって、イソフラボンには

  • 癌細胞の増殖を抑える
  • 癌の成長に必要な血管の増殖を抑える
  • 発癌の原因になる悪玉の活性酸素の発生を抑える

といった効果が認められています。また、国民栄養調査でも、イソフラボンの豊富な大豆製品をよく食べる地域の人は、 乳癌や子宮体癌で死亡する危険度が低いこともわかっています。 イソフラボンを豊富に含む大豆や味噌で、そのほか豆腐・納豆などの大豆製品にも含まれています。 婦人科系の癌予防に、これらの食品を積極的に食べると有効でしょう(豆腐なら半丁が目安)。

また、イソフラボンと一口にいっても、体内に吸収されにくい低吸収型と、吸収力に優れた高吸収型の2種類があります。 詳しい説明は省きますが、両者の違いは、分子構造の中に糖が含まれているかどうかにあります。 低吸収型のイソフラボンは、その末端に糖がついているため分子が大きく、体内に吸収されにくいのです。 一方、体内への吸収力に優れた高吸収型のイソフラボンは、味噌やテンペという食品に豊富です。 テンペはインドネシアの伝統食で、ゆでた大豆をハイビスカスの葉についているテンペ菌という微生物で発酵させたもの。 最近では、日本でもスーパーなどで市販されています。

なお、イソフラボンは便利なサプリメントも市販されていますが、日常食品に加えてイソフラボンを過剰に摂取すると 体に悪影響を及ぼす恐れもあると指摘されています。製品に表示された適量を必ず守るようにしましょう。


●イソフラボンの必要摂取量

イソフラボンの摂取量は一日に40mg〜50mgが理想です。これは、豆腐なら150g(半丁)、 きな粉なら20g、納豆なら60g(1パック)です。 多めに摂取しても体外に排出されますが、 5gや10gといったべらぼうな量を摂取するのはよくないでしょう。過ぎたるは及ばざるが如し、ですね。


●イソフラボンの副作用

イソフラボンは実際のホルモンとは違い、弱い働きをする女性様ホルモンです。 自然に存在する成分であり薬ではないため、副作用の心配はないと言われています。 更年期障害の治療法として女性ホルモンであるエストロゲンを投与する方法がありますが、 イソフラボンはエストロゲンに比べると効果は落ちるが副作用がないのが利点だという発表もあります。 (日経ヘルスNEWSにも掲載されています。その1/その2/その3) ですが、子宮筋腫や子宮内膜症のかたは必ず担当の医師や薬剤師などにご相談、ご確認ください