レスベラトロール

レスベラトロールは、活性酸素を消す効力が大きいことが知られています。 活性酸素を消すことによって、 血液中の悪玉コレステロールの酸化を抑え、 動脈硬化を改善します。 また、血液中の血小板が集まるのを抑えて、血栓ができるのも防ぎます。 そうした働きから、レスベラトロールは、 心臓病脳卒中の予防・改善に有効と考えられています。 さらにレスベラトロールには、優れた抗癌作用や疲労回復などの効果があることもわかってきました。


■「レスベラトロール」とは?

長寿遺伝子を目覚めさせる成分

『レスベラトロール』とは、フレンチ・パラドックスをきっかけに注目されたポリフェノールの一種です。 ブドウの皮や種にたくさん含まれている、ブドウの実の紫色を出す色素成分で、赤ワインやベリー系の果実に多く含まれています。 抗酸化作用が高く体内で体を錆びさせる活性酸素を減らす働きを持つことでいられています。 この成分がにわかに注目を集めるようになったのは、「長寿遺伝子(サーツー[Sir-2])」 を目覚めさせる効果が極めて大きいということがわかってきたからです。 このことを世界で初めて報告したのは、米国ハーバード大学の准教授であるディヴィッド・シンクレア博士です。 シンクレア博士は、代表的な長寿遺伝子のサーツー遺伝子を発見した、マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ教授の研究グループの一員でした。 シンクレア博士は、レスベラトロールがサーツー遺伝子に直接働きかけることを発見しただけではありません。 サーツー遺伝子は酵母を使った実験で発見されましたが、レスベラトロールが酵母のサーツー遺伝子の活性を高めて、 酵母の寿命を70%も延ばすことを実験で確かめたのです。 中でも興味深いのは、次の点です。ふだん休眠している長寿遺伝子はカロリー制限で目覚めて、生物の寿命を延ばします。 そこで、カロリー制限による寿命延長効果とレスベラトロールの効果を比較してみたのです。 すると、レスベラトロールを与えた酵母でもカロリー制限によって長寿遺伝子が活性化された酵母と同じくらい寿命が延びました。 これはすごいことなのですが、あくまで酵母での結果です。 そこで、シンクレア博士は、さらにマウスで確かめることにしました。 その結果、もっと興味深いことが確認されたのです。


●権威ある雑誌『ネイチャー』でも評判

シンクレア博士は、レスベラトロールを添加した高カロリーのエサで飼育したマウスと、 添加していない高カロリーのエサだけで飼育したマウスの寿命を比較してみたのです。 高カロリーのエサで飼育されたマウスは、血糖値が上昇し、脂肪肝、肝肥大が認められる完璧なメタボリックシンドローム のマウスになります。こうしたマウスは通常のマウスより寿命が短く、人間でいうと中年にさしかかった 70週齢で死亡率が急上昇します。 ところが、高カロリーのエサで飼育されたマウスでも、レスベラトロールを投与されていた群は、 肥満にはなっていても健康そのもので、長生きしました。そればかりか、高カロリーではない、 通常のエサで飼育したマウスより寿命が延長されたのです。 シンクレア博士のこの研究は、権威ある米国の科学雑誌『ネイチャー』に発表され、世界中の話題になりました。 これによって米国では、レスベラトロールのサプリメントの大ブームが引き起こされました。


●レスベラトロールを含む健康食品も人気

ブドウといえば、やはりポリフェノールの一種である「アントシアニン」という紫色の色素成分が すでに有名になっています。赤ワインを毎日のように飲んでいるフランス人は、料理に肉やバターを多用し 脂肪分の摂取量が多いにもかかわらず、心臓病や脳卒中が少ないというデータがあります。 これは「フレンチパラドックス」(フランス語の逆説)といわれています。 その理由としては、以前から赤ワインに含まれているアントシアニンなどのさまざまなポリフェノールに、 「活性酸素」を除去する強い働きがあるためと説明されてきました。 しかし、赤ワインには長寿遺伝子を目覚めさせるレスベラトロールも豊富に含まれているわけなので、 この点からもフレンチパラドックスの理由が説明できます。 赤ワインは、正真正銘の健康と長寿を実現する飲み物だったのです。

日本でもレスベラトロールを含むサプリメントがすでにいくつも市販されていますが、 干しブドウや赤ワインからでも補えます。活性酸素を除去するポリフェノールが多く含まれているのは、 カベルネソーヴィニヨンやネビオロという品種の赤ワインです。 これらの赤ワインには、レスベラトロールも豊富なので特にお勧めです。 レスベラトロールには、このほか目の血管を拡張する働きもあり、血流障害による眼病の予防も期待されています。 毎日、グラス1〜2杯の赤ワインを飲むことは健康長寿への近道になるかもしれません。


●サンタベリーはレスベラトロールが豊富

1976年に、植物が紫外線などのストレスから自分の体を守るために生み出す防御成分であると報告されたレスベラトロールは、 赤ワインやピーナツの皮、アーモンドなどや、北欧に自生する果実「サンタベリー」に含まれています。 その中でもサンタベリーは北欧の厳しい寒さや白夜などの自然環境が影響し、レスベラトロールの量が多いといわれています。 地元では、伝統療法として抗炎症作用を期待されたり、臭みを消すため肉料理に添えるジャムやソースに使われています。


●関連項目

サーチュイン(長寿たんぱく)
サーチュイン(長寿たんぱく)」は、生物の体内で作られらるたんぱく質の一種で、 最近の遺伝子研究によって不老長寿の妙薬となりうることがわかり、大きな話題を集めています。

ブドウエキス
不老長寿の妙薬といわれる長寿たんぱく「サーチュイン」を体内で増やすためには、 ポリフェノールの一種の紫色の色素成分「レスベラトロール」を摂取することが有効といわれ、 レスベラトールを効率的に摂るには、「ブドウエキス」が有効です。