骨量増加・骨密度強化

骨量不足の兆候は、腰や股関節などの痛みとなって真っ先に現れ、若くても痛みがあれば、骨量不足の疑いが濃厚です。 骨量不足が進むと少しの段差につまづいただけでも骨折するという危険が高まります。 特に女性の場合は、若いときから骨量増加骨密度強化に気をつけながら生活することが、 将来的にも寝たきり知らず、介護要らずになる秘訣といえるでしょう。


■骨量が不足すると

知らぬ間に骨折している場合もある

骨は、カルシウムやマグネシウムといったミネラルと、たんぱく質などから構成されており、 骨の中に含まれるこれらの成分の量を「骨量」と呼んでいます。 つまり、骨量が不足すると骨は当然弱くなり、やがては「骨粗鬆症」を確実に招きます。 ここで問題なのは、骨粗鬆症が、非常に気づきにくい病気であること。 骨折して初めて、自分が骨粗鬆症だったと知る人が大勢いるのです。 これは骨粗鬆症には特有の症状があるわけではなく、しかも、骨量は長い年月をかけて減るため、 異変に気づきにくいことが早期発見を遅らせているのでしょう。

しかし、骨量不足の兆候が全くないのかといえば、そうではありません。 代表的な兆候としては、背中から腰にかけて現れる痛みがあげられるでしょう。 急に動いたときに現れる場合が多いようですが、中には、直立姿勢を長時間続けていた人にも、痛む場合があるようです。 これは骨量不足が、特に背骨に現れやすいことが原因。 ご存知の通り、背骨は首からお尻にかけて骨が何個も積み重なった構造をしています。 そのため、骨量が不足して一つ一つの骨が弱くなると、その重みでつぶれて骨折し、それが痛みとなって現れるのです。 皆さんは、骨折というと、単純に細長い骨が真ん中からポキッと折れる印象をお持ちでしょう。 しかし、ここでいう背骨の骨折は、折れるというよりは、積み重なった骨の一つが重みでつぶれた状態と考えてください。 背骨は、本人が知らない間につぶれて骨折している場合が少なくありません。 背骨の中でも特につぶれやすい部位が、「腰椎」(腰の部分にある背骨)。 その理由としては、腰が体の中心にあって常に重い上半身を支えており、 絶えず緊張を強いられていることがあげられるでしょう。その結果、骨がつぶれやすくなるというわけです。

さらに、足の付け根にある「股関節」の痛みにも注意が必要。 股関節は、骨量不足による骨折が最も起こりやすい部位なのです。 正常な股関節は、太ももの骨(大腿骨)の先端が、骨盤の外側にある寛骨臼というくぼみに、 はまり込んだ構造になっています。 私たちが立ったり座ったりといった動作がスムーズに行えるのは、大腿骨と寛骨臼がうまくかみ合っているからです。 ところが、骨量が不足して骨が弱くなると、少しつまずいただけでも股関節の骨に異常をきたすようになり、 痛みを招く場合もあるのです。もし骨折してしまった場合には、歩けなくなって、そのまま寝たきりになる人も大勢います。 寝たきりを防いで、介護を受けずにすむためにも、骨量不足を早期に見つけ、骨を強化するようにしましょう。

他にも身長が縮んだり、腰や背中が曲がったりするのも、骨粗鬆症の人ほど起こりやすくなります。 よく、お年寄りが背中を丸くして杖をついて歩いている姿を目にしますが、これは骨量不足が深く関係しています。 骨がつぶれて骨折すると、骨と骨の間隔が狭くなって座高が低くなります。 また、背骨の変形が起こると、背中の後ろの骨が突き出て背中が丸くなるのです。 「最近、身長が低くなった」「背中が丸くなった」という人は、骨粗鬆症を真っ先に疑ってください。

そしてもう一つ、ぜひ知っておいていただきたいのは、骨量不足が起こるのは、お年寄りだけではない、ということ。 最近では、栄養バランスの悪い食事や極端な減量、運動不足によって20代や30代といった若い女性にも 骨量不足が蔓延しています。たとえ若くても、骨量不足が進むと少しの段差につまづいただけでも骨折するという危険が 高まります。特に女性の場合は、若いときから骨量を減らさないように気をつけながら生活することが、 将来的にも寝たきり知らず、介護要らずになる秘訣といえるでしょう。


■骨密度を高める(骨量を高める)

骨粗鬆症に対しての予防・対策は、カルシウムやビタミンDの補給、適度な運動が必須条件です。 しかし、それだけでは不十分。むやみやたらにカルシウムを摂るだけでは効率的とはいえません。 なぜなら、カルシウムは吸収が悪い栄養素だからです。 また、せっかく体内に吸収されたカルシウムも、マグネシウムが不足すると、骨の形成に有効利用されません。

骨の内部では、古くなった骨を破壊する「破骨細胞」と新しく骨を作り出す「骨芽細胞」が働き、 古くなった骨を新しく再生させる新陳代謝が絶えず行われています。 マグネシウムには、骨芽細胞に働きかけて、骨に取り込まれるカルシウムの量を調節する働きがあります。 そのため、マグネシウムが体内に不足すると、骨の再生がスムーズに行われなくなるのです。 また、マグネシウムが血液中に不足すると、それを補うために骨に蓄えられたマグネシウムが放出されてしまいます。 実はこのとき同時に、マグネシウムの3~5倍ものカルシウムも骨から溶け出てしまうのです。 そうすると、当然、骨はますますスカスカになり、骨粗鬆症を進行させてしまうことになります。 こうしたことから、カルシウムだけを補うのではなく、同時にマグネシウムも積極的に摂り、 破骨細胞と骨芽細胞のバランスを整えることが大切です。むしろ先決問題といっていいかもしれません。 いくらカルシウムを摂取しても破骨細胞と骨芽細胞のバランスが崩れていては、摂取する意味がありません。


●骨強化栄養をバランスよく補うには?

カルシウムが豊富な食品には、エビ、小魚、チーズ、エンドウマメなどがあります。 一方、マグネシウムが豊富な食品としては、アオサやアオノリなどの海藻類、エビ、イワシ、大豆があげられます。 当然、これらの食品を毎日の食事で摂ればいいわけですが、実はカルシウムの摂取量とマグネシウムの摂取量には、 理想的な比率があります。その比率とは、カルシウムが2で、マグネシウムが1。 どちらかが多すぎても少なすぎても、効率的に骨を強めることはできないのです。 ちなみに、厚生労働省も、成人男女のカルシウムとマグネシウムの1日の所要量を、カルシウムは600~700mg、 マグネシウムは男性280~320mgと、ほぼ2対1の割合で定めています。 ところが、カルシウムとマグネシウムを両方含むイワシの煮干しでも比率が約10対1、同様に干しエビでも比率は14対1で、 理想的なバランスで両者を補うのはなかなか難しいものです。 そんな中、カルシウムとマグネシウムが2対1の比率で含まれている食品として「沖縄サンゴ」 が注目されています。

【関連項目】:『沖縄サンゴカルシウム』 / 『マグネシウム』


●骨密度を高める(骨量を高める)その他の成分

破骨細胞と骨芽細胞のバランスを整え、骨密度や骨量を増加させるるものとして、 「有機ゲルマニウム」「MBP」も有効であるといわれています。