【質問】乾皮症でからだのあちこちに湿疹ができています
夫(85歳)は、昨年末より「乾皮症」で左脚のあちこちに湿疹ができ、近頃は左手や背中にも広がって、皮膚が捲れて出血します。 左脚の前面の湿疹は大きな小判形になっています。皮膚科で処方されたヒルドイドソフト軟膏を塗っていますが一向に治りません。 どうすればよいですか。なお、夫は糖尿病があります。
【答】
ご質問者の症状は、皮脂の減少によって皮膚が乾燥した「乾皮症」が悪化して湿疹になった「皮脂欠乏性湿疹」と思われます。
ご高齢の方の皮膚のトラブルとして最も頻度が高いものです。特に気温、湿度が低下する冬には、発汗や皮脂の分泌量が低下するうえ、
暖房器具の使用により肌がさらに乾燥するので、症状が悪化しやすくなります。
皮膚の乾燥は高齢者に多く見られますが、糖尿病のある人ではかゆみや乾燥がさらに強くなる傾向があります。
かゆみが強いためにかくと、ひっかき傷ができてその部分が湿疹になりやすくなります。
ひっかき傷により線状の傷痕ができた場合には「掻皮性湿疹」、コインのように湿疹の形が丸くなった場合は「貨幣状湿疹」と呼ぶこともあります。
ご使用中のヒルドイドソフト軟膏は、保湿剤の一種ですが、湿疹ができた場合にはこのような保湿剤を外用するだけでは効果が不十分です。
湿疹の部分には比較的強めのステロイド外用薬を1日1~2回、適量を塗りましょう。
乾燥だけの部分にはステロイド外用薬を塗った上に保湿剤を重ね塗りすることもできます。
また、かゆみが強い場合には抗ヒスタミン薬というかゆみ止めの内服液を、
不眠症もある場合には睡眠薬などの内服薬を追加することでかゆみを和らげることができるので、皮膚科で相談されるとよいでしょう。
生活上の注意として、暖房器具は部屋全体を温めるものにし、加湿器などで室内の湿度を上げましょう。
入浴は短めに、或いは隔日にして、石鹸の使用量もできるだけ少なくして皮脂が流れ出ることを防ぎます。
入浴後は保湿剤を必ず塗りましょう。乾燥症状がひどい場合は皮膚を保護する作用の強いワセリンやオイルなどのベタつくタイプの保湿剤を、
乾燥症状が軽い場合はクリームや乳液などさっぱりしたタイプの保湿剤がお勧めです。
また、体温が上がるとかゆみを感じやすくなるので、肌着はできるだけ木綿でできたものにし、体を温かくし過ぎないことが大切です。
かゆみが強い場合は、タオルで巻いた保冷剤をかゆみのある部位の皮膚に押し当てるとよいでしょう。
皮膚の温度を下げることで、かゆみやひっかき行動を一時的に落ち着かせることができます。
(この答えは、2018年5月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)