【質問】右目より左目が小さくなっています

「顔面神経痛」があります。眼科で勧められて左の顔面に何度かボトックス注射をしましたがよくなりません。 今は右目より左目のほうが小さくなっています。何か良い方法はありませんか。 ボトックス注射の注意点についても教えてください。
●60歳代・女性


【答】

ご質問には「顔面神経痛」とありますが、内容から判断しますと「顔面神経麻痺」のことだと思います。 片側の顔の一部が動きにくくなる顔面神経麻痺を発症した場合は、早期に薬物治療を行うことが大切ですが、 治療後の神経障害の程度は患者さんによってさまざまです。 軽症の場合は、顔の筋肉の運動を司る顔面神経に電気信号が流れなくなるだけで、神経線維そのものは変性していないので完全に回復します。 一方、中等症から重症の場合は、神経線維が変性を起こし、いわば”枝”が死んだような状態です。 変性した神経線維はゆっくりと再生しますが、その時に過剰な神経線維の再生が起こると、ある部分の筋肉が強く収縮して固まったような状態になる 「拘縮」や、目と口の筋肉が同時に動いてしまう「病的共同運動」と呼ばれる後遺症が現れます。 ご質問者の「右目より左目が小さくなった」というのは、左の顔面神経麻痺の後遺症で、左の眼輪筋(目の周囲を囲む筋肉)に拘縮が起こっていると思われます。 このような場合は病的共同運動も同時に起こることが多いので、会話や食事などで口の筋肉を使うと、眼輪筋も一緒に収縮して目がより細くなることもあります。 現在のところ、いったん強い神経障害が起こってしまうと、これらの後遺症を完全に解消させることは難しいと思います。

治療ではまず、後遺症を目立ちにくくする効果がある、顔の筋肉のストレッチが勧められます。 寒い時期や、たくさんしゃべって顔の筋肉をよく使った後などには、特に念入りに行いましょう。 顔を蒸しタオルなどで温めて行うとより効果的です。 もう一つ普及している治療が「ボツリヌス毒素(ボトックス)療法」です。 神経麻痺を起こさせるボツリヌス毒素を、過剰な筋肉の活動が起こっている顔の筋肉に少量注射し、拘縮や病的共同運動を緩和する治療です。 長い歴史があり安全な治療ですが、ボツリヌス毒素の必要量や必要個所は患者さんごとに異なります。 最適な注射の個所や量は、何回か注射をして決めていくことになります。 ボツリヌス毒素法は完治を目指すものではなく、薬の効果は3ヵ月程度で切れてしまうので、定期的に再投与を行うことが必要です。 より永続的な治療法としては、筋肉を部分切除する形成外科的治療もあります。 まずは顔面神経麻痺を専門とする医師にご相談されることをお勧めします。

(この答えは、2018年2月現在のものです。医療は日々進歩しているので、後日変わることもあるのでご了承ください。)