顔面神経麻痺(ベル麻痺)

■症状と特徴

顔を動かす顔面の神経が麻痺して起こる病気で、顔半分の筋肉が動かせなくなります。 耳の後ろが痛むという予兆があることもありますが、多くはある日突然、症状が現れます。 麻痺した目は瞼が開かれたまま閉じることができず、無理して閉じようとすると黒目が上がって白目になります。 口ももとは麻痺していない側にひかれて曲がり、唇の端からよだれが出ます。 物音がガンガン響いたり、味覚が変調を来したりすることもあります。 発症して2~3日に麻痺は最もひどくなり、1~3週間ほどで次第に改善し、1ヵ月もすれば元に戻ります。 ただ、10%程度の例に後遺症が残ることがあります。


■原因

末梢神経の病気の一つで、顔面神経が一時的に機能を失いますが、ほとんどが回復する良性の麻痺です。 なぜ機能が一時的に失われるのかは、はっきりしていません。 しばしば、冷水で顔を洗ったり、冷風に顔をさらしたりした後に発症します。 なお、ベル麻痺以外に、ヘルペスウイルスの感染による耳性帯状疱疹、脳腫瘍や血管障害など、いろいろな原因で起こる顔面神経麻痺もあります。


■治療

ステロイドやビタミンEなどによる薬物療法を行い、治り始めたら顔面運動のリハビリテーションによって表情を回復させます。 ただし、目を閉じられないと、角膜が乾燥して炎症を起こすこともあるので、点眼液を使用し、眼帯をして目を保護する必要があります。 また、頬を膨らませたり、口を開けたり、噛んだりすることができにくく、食物が一方の頬に偏ることもあります。 食事の仕方に注意し、口中の衛生に気を付けましょう。 ベル麻痺以外の顔面神経麻痺については、原因となるものを治療します。