中耳炎

中耳炎とは中耳腔に起こる様々な障害によって生じる炎症の総称で、 発症様式、あるいは病態によって細かく分類され、治療法もそれぞれ異なります。 中耳炎で最も多く、一般的に中耳炎と呼ばれている急性中耳炎、鼓膜に穴が開き、閉じなくなった慢性中耳炎、 中耳腔膿が溜まる滲出性中耳炎、飛行機に乗ったときに耳が詰まったような感じがする航空性中耳炎があります。 原因も治療法もそれぞれ異なりますが、細菌やウイルスによることが多いようです。 しかし、いずれも中耳伝音障害を起こすために伝音難聴という難聴の原因になります。


■中耳炎とは?

鼓膜や耳小骨周辺に異常が起こる病気

耳は、外側から「外耳」「中耳」「内耳」に大きく分けられます。 音は外耳から入ってきて鼓膜を振動させ、「耳小骨」を経由して、渦巻き型の「蝸牛」に伝わります。 音の振動は蝸牛で電気信号に変えられ、「聴神経」を通って脳に伝えられると、音として、認識されます。 この経路のうち、鼓膜から耳小骨までを中耳といい、そこに何らかの異常が発生して起こる病気を、中耳炎といいます。 中耳炎は次の5つに大別され、いずれも聞こえが悪くなる原因になります。

▼滲出性中耳炎
【関連項目】:『滲出性中耳炎』

▼急性中耳炎
【関連項目】:『急性中耳炎』

▼慢性中耳炎
【関連項目】:『慢性中耳炎』

▼航空性中耳炎
【関連項目】:『航空性中耳炎』

▼真珠腫性中耳炎
鼓膜の上皮が中耳に侵入して袋状になり、そこに耳垢などがたまって、周りの骨を破壊していきます。 耳垢などがたまってできた塊を「真珠腫」といいます。耳小骨が破壊されることで、聞こえが悪くなります。 内耳側に進行して蝸牛が壊されると、難聴がさらに悪化し、平衡感覚を司る「三半規管」が壊されると、 めまいが起こります。「顔面神経」が通る骨の管が壊されると「顔面神経麻痺」が起こります。 一方、中耳の上方に進行すると「髄膜炎」を発症します。重篤な症状をもたらすこともあるので1日も早い治療が必要です。
治療は、真珠腫を取り除くとともに、破壊された組織を再建して症状の改善を目指す「鼓室形成術」が行われます。 耳小骨を再建する場合は損傷した小耳骨を加工して使ったり、耳の軟骨や人口耳小骨を使用します。

●診断を確定するには

中耳炎かどうかを調べるには、顕微鏡で鼓膜の状態を確認する「耳鏡検査」などが行われます。 滲出性中耳炎が疑われる場合は、鼓膜の動きを見る検査が行われます。 真珠腫性中耳炎の場合は、最終的に「CT(コンピュータ断層撮影)検査」が行われ診断が確定します。