滲出性中耳炎
中耳は「耳管」と呼ばれる管によって鼻の奥に当たる「上咽頭」と繋がっています。 耳管には、中耳内の圧を調整したり、中耳にたまった分泌物を上咽頭側に排出する機能があります。 これらの機能が障害されると、中耳に液体がたまる、滲出性中耳炎が起こります。 子供や高齢者に多く見られるタイプです。耳管の機能が障害される原因の一つは、鼻やのどの炎症が耳管に波及することです。 また、通常耳管は閉じていて、あくびなどをすると筋肉が働いて開きますが、高齢者の場合は、その聴力の低下が原因になる場合があります。 非常にまれですが、「上咽頭がん」の症状として起こる場合もあります。 鼓膜の奥に液体がたまることで、聞こえが悪くなったり、耳が詰まった感じがします。 痛みや発熱はないので、他のタイプに比べ、気付きにくくなります。
■滲出性中耳炎の症状と特徴
主な症状は難聴と耳が詰まる感じです。乳幼児では軽度の難聴でも言語取得に影響するため、早目の治療が大切です。 ただし自覚症状を訴えないので注意が必要です。 高齢者では、加齢による難聴と思い込み、治療せず放置することで悪化してしまうことが珍しくありません。
■滲出性中耳炎の原因
乳幼児は耳管がまだ満足に形成されていないため、また高齢者では加齢のために、耳管の機能が十分ではなく、中耳圧が低下し、 中耳粘膜から出る浸出液が中耳に溜まるようになります。長期にわたると、粘性も出て、耳が聞こえにくくなります。 アレルギー性鼻炎、 副鼻腔炎の後に発症することもありますが、上咽頭癌の初発症状でもあります。
■滲出性中耳炎の治療
耳管の機能が障害された原因を取り除く治療が基本です。 鼻やのどに炎症がある場合は、抗炎症薬や抗ヒスタミン薬などを用います。 現在は、免疫や耳管にある繊毛の働きを高める目的で、少量の「マクロライド系抗菌薬」を長期間服用する治療も主流になってきています。 こうした治療を行っても、たまった液体が排出されない場合は、「鼓膜切開術」や「鼓室内チューブ留置術」などの手術が行われます。 鼓室内チューブ留置術とは、鼓膜を小さく切断して、直径2~3ミリ程度のチューブを留置し、たまった液体の排出を促す治療法です。