質問:透明な乳汁分泌があります

20歳の頃に「鬱病」と診断され、ドグマチールを服用しました。 乳汁分泌がみられたので乳腺科の医師に相談し、服用は2ヵ月ほどで中止しましたが、7年ほどたった今も月経前などに透明の乳汁が分泌されることがあります。 大丈夫でしょうか。


【答】

産後でもないのに乳頭から乳汁が出てくることを「異常乳頭分泌」といいます。 出てくる液はミルクそのものであったり、血液だったりします。 透明な場合は薄いミルク、あるいは血液の上澄みの可能性があります。 ミルクの場合は通常、両側の乳頭の多数の乳管孔から出てきます。 授乳期と同じ状況なので生理的な乳汁分泌と考えられます。 一方、血液の場合は、片側の乳頭の1つの乳管孔から出てくることが多く、その乳管のどこかに腫瘍などの器質的な問題があると考えます。 多くは「乳頭腫」などの良性腫瘍ですが、腫瘍が悪性のこともあるので、乳癌の精密検査を受けることが大切です。
乳汁の分泌には、脳の下垂体から出る「プロラクチン」というホルモンが関わっています。 プロラクチンは妊娠中から産後にかけて増加し、授乳が可能な乳房の状態を作ります。 また、何らかの原因でプロラクチンが増加すると、授乳期でなくても乳汁の分泌や無月経などの月経不順が引き起こされることがあります。 原因としては下垂体の腫瘍などのほかに、薬の副作用が挙げられます。 ご質問者が内服したドグマチールは、そうした副作用が起こりうる薬の一つです。

では、内服をやめて7年ほど経つのに乳汁分泌が持続している現在の状況は、どう考えればよいのでしょうか。 まず、以前と同様の透明な乳汁ということですので、乳癌などの腫瘍の可能性は低いと考えます。 また、プロラクチンが現在も持続的に高いのかどうかですが、月経の異常などがなければ、おそらくプロラクチンは正常と考えられます。 実は、授乳後や薬の副作用による乳汁分泌の後に、継続して乳汁の分泌が見られることは珍しいことではありません。 プロラクチンの上昇による乳汁分泌が起こる前は、乳管孔が角栓と呼ばれるもので蓋をされていますが、それがいったん外れると、 その後は生理的に起こる少量の乳汁分泌でも乳管孔から出やすくなるのだと思われます。 この場合は重大な病気が隠れているわけではないので、心配しないで様子を見てよいと思います。

(この答えは、2019年5月現在のものです。医療は日々進歩しているので、後日変わることもあるのでご了承ください。)