【質問】就寝中に股関節が痛みます
「変形性股関節症」と診断されています。
ふだん、ウォーキングやゆっくりしたジョギングなどをしていますが、これまで特に問題はありませんでした。
ところが最近、就寝中に股関節が痛むようになり、痛みで目が覚めてしまいます。病気が進んだのではないかと心配です。
●59歳・男性
【答】
股関節は、体の中で最も大きな関節で、体重を支え、歩行の際にはまさに要となります。
股関節では、骨盤の臼蓋と呼ばれる部分と、大腿骨の骨頭が相対して関節を作っています。
臼蓋と大腿骨の表面は関節軟骨で覆われ、互いの骨が直接にぶつかり合うのを防いでいます。
しかし、加齢に伴ってこの関節軟骨が摩耗し、すり減ると、軟骨の下の骨が一部露出します。
そのため、股関節の表面が凹凸になり、関節の動きに応じて骨と骨がこすれて痛みが出てきます。
この病態を「変形性股関節症」といいます。
病気が進行すると骨の変形が進み、関節の動きが悪くなります。
重症の例では、股関節に体重を十分にかけることができないため、歩行の際に体が左右に揺れ、不安定になります。
日本では、子供のころの股関節の病気(「臼蓋形成不全」や「股関節脱臼」)が多く、男性に比べ、女性に多く見られます。
ご質問者は、子供のころに股関節の病気があったでしょうか。ご本人は覚えていないかもしれませんが、家族(両親や兄弟姉妹)に尋ねてみてはいかがでしょうか。
変形性股関節症は、臼蓋形成不全はもちろんのこと、それ以外の病気でも起こりますので、子供のころの病気に関する情報は大変有用です。
変形性股関節症の痛みのほとんどは、歩行などの運動時に増し、安静にすると軽減するのが一般的です。
ご質問者の場合は、むしろ就寝中に痛みが出現するとのことですので、股関節の軟骨や骨の摩耗、変形が進行しつつある可能性があります。
変形性股関節症の初期の段階では、関節軟骨の変性がごく僅かですので、痛みもあまりありませんが進行とともに痛みが強くなり、痛みを感じる頻度も増えてきます。
関節表面の軟骨の摩耗や、関節内の「関節唇」と呼ばれる軟骨部分が傷ついている方では、股関節部に痛みが生じます。
就寝中に股関節が痛むとのことですので、変形性股関節症以外にも原因があるのか、調べることも必要でしょう。
例えば、変形性股関節症以外の股関節の痛みや、腰椎などほかの部位の病気が影響して股関節部に痛みを生じさせている可能性も考えられます。
整形外科、特に股関節を専門にしている医師に相談されることをお勧めします。
(この答えは、2014年4月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)