【質問】指の変形性関節症と診断されました
朝起きると両手の指が硬くなり、痛みを感じることがあります。
整形外科の医師には、「変形性指関節症だろう」
と言われました。
今はそのままにしていますが、時々、痛みがひどくなることがあります。
治療は必要でしょうか?
●60歳代:女性
【答】
指が硬くなり「変形性関節症」を疑われたようですね。 変形性関節症は、関節の表面を覆う軟骨が摩耗する病気で、関節の動きが制限され、痛みが生じます。 膝に起こることはよく知られていますが、指も非常に起こりやすい部位です。 また、軟骨の摩耗とともに、関節のへりに骨棘と呼ばれる骨が形成されて硬いコブ(結節)のようになり、指の節が太くなります。 指の中でも変形性関節症が生じる部位によって、ニックネームのような名前が付けられています。 爪に一番近い関節(DIP関節)に起こるものは「ヘパーデン結節」、 その次の関節(PIP関節)に起こるものは「プシャール結節」と呼ばれます。 指の変形性関節症は、40歳代以降、年齢が上がるにつれ増え、男性より女性に多いのですが、誰にでも生じる可能性があります。
ご質問では「朝起きると指が硬くなる」とのことですが、変形性関節症以外に「ばね指」といわれる 腱鞘炎や、 あるいは変形性関節症と腱鞘炎の合併の可能性もあります。ばね指も中年以降の女性に多く起こります。 指を曲げる屈筋腱は腱鞘と呼ばれるトンネルを通る構造をしていますが、腱と腱鞘の間で起こる通過障害がばね指です。 手のひらに痛みが出たり、指が動きにくくなったりします。典型的な場合は、指をしっかり握った後にスムーズに伸ばせずに指が跳ねるようになるため、 「ばね指」と呼ばれます。朝は体がむくんでいることもあり、症状が強く出やすくなります。
指の変形性関節症の経過には個人差があります。放っておいても数年の間に痛みがなくなってしまうこともある一方で、 半数弱の人では5年たっても痛みが続いています。 日常生活における注意点としては、関節が不安定なヘパーデン結節の場合は、手を使う作業をする際にテーピングで固定することをお勧めします。 DIP関節は固まってもあまり支障はありません。 反対にプシャール結節の場合、PIP関節の動きは手の機能に重要なので固定はせず、お風呂で温まったときなどに指を曲げ伸ばす運動をして関節が固まらないようにします。 また、関節がパンパンに腫れあがって痛む場合は、強い炎症が起きている可能性があるので、病院を受診して相談してください。 ばね指の場合は、指を反り返らせるようなストレッチを心がけるとよいと思います。 強い痛みが続く場合には、整形外科や手外科を標榜する病院を受診してください。 少し痛みますが、腱鞘内にステロイドを注射することで、症状はかなり楽になります。
(この答えは、2017年7月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)