【質問】足の親指に力が入りません

1年ほど前から左足の親指に力が入りにくくだらりと下がっています。歩行が重く、外出するのが苦痛です。 右足の親指も下がっていますが、左ほど悪くはなく、自分で動かせます。 10年ほど前に受けた「脊柱管狭窄症」の手術が原因ではないかと思うのですが、医師はわからないと言います。 MRI検査では「手術した部分がやや弱っているが、心配はない」という診断でした。 リハビリをすればよくなりますか。
●80歳代・男性


【答】

「足の親指を上に反り返らせる力が入らない」ということだと理解してお答えします。 足の親指を反らす筋肉は長母指伸筋といい、腓骨神経がその筋肉を支配しています。 坐骨神経には、主に腰椎の第5腰神経根の機能が入っています。 もし、親指の骨の変形などの関与がないとすると、筋肉か神経が関係していると考えられます。 診察やMRI検査で筋肉に変性や断裂があれば、その修復が必要です。 筋肉に異常がないとすると、腓骨神経か第5腰神経根のの障害が考えられます。 腓骨神経の機能は神経伝導速度の検査で見ることができます。 第5腰神経根が障害されている場合、通常は親指を反らせる長母指伸筋だけでなく、第2~5足趾、あるいは、足全体を反らせる力も弱くなることが多いのですが、 長母指伸筋だけが弱くなることもあります。 MRI画像では、特に第4腰椎と第5腰椎の間での神経圧迫の有無を評価してもらってください。 ただ、ご質問者は「脊柱管狭窄症」で腰椎の手術を受けられたようですので、 もし第5腰神経根の圧迫を取る手術が行われていれば、圧迫による症状とは考えにくく、第5神経根内の癒着や変性が考えられます。 その場合は、リハビリテーションを行っても回復は難しいと思います。

ただ、治療法がないわけではありません。それは、足の親指を上に反り返らせる装具を装着することです。 装具は義肢装具士が作成しますが、その処方は医師が行います。 装具にはいろいろなタイプがあるので、整形外科医やリハビリテーション科医に相談してみてください。 もし今後「足の指を曲げる力」「つま先立ちする力」「膝を伸ばす力」が弱くなってきた場合は、まったく別の原因が考えられます。 このような症状が見られたときは、脳神経内科を受診してください。

(この答えは、2019年5月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)