【質問】膝の裏に大きな膨らみがあります

右の膝の裏に大きな膨らみがあります。痛みはなく、家族に言われて初めて気付きました。 整形外科で「ガングリオン」と診断され、 溜まった液を抜いてもらいましたが、すぐに元に戻り、今は前より大きいくらいです。 医師に「痛みがなければそのままでいい。手術はリスクがある」と言われましたが、このままで大丈夫でしょうか。
●40歳代:女性


【答】

「ガングリオン」と診断されたということですが、 ①膝の裏に発生した大きな膨らみであること、②溜まった液を抜いたあと(穿刺後)、すぐに再発していること、 ③穿刺後、かえって膨らみが大きくなっていることから、膝の裏の腱(半腱様筋)とふくらはぎの内側の筋肉(腓腹筋内側頭)の間にある、 滑液包(滑りをよくする袋)が炎症を起こして大きくなった「膝窩嚢胞(ベイカー嚢胞)」ではないかと考えてお答えします。 ベイカー嚢胞は、しばしば膝関節腔と繋がっています。また、膝関節の内側半月板が変性・断裂していることが多く、 黄色く透き通ったネバネバした膝関節液が、内側半月板の中に溜まっていきます。 滑液包の中に溜まった液を抜いても、膝関節腔と繋がっているので、しばらくするとまた液は溜まることになります。 軟骨でできた半月板の大部分には神経や血管が通っていないので、変性や断裂が起こっても痛みや関節内への出血は生じません。 したがって、ベイカー嚢胞では膨れた部分を押しても、痛みや熱を持った感じはありません。 しかし、膨らみが大きくなると、膝の裏に不快感が生じたり、正座がしにくくなったり、膝を伸ばすと突っ張ったりします。 ベイカー嚢胞や半月板の変性・断裂は、エックス線検査ではわかりません。 MRI検査で、嚢胞の大きさや部位、半月板の状態などを詳しく調べてもらうことが必要です。 ベイカー嚢胞の場合は、自然治癒することは困難なので、溜まった液を何度か抜いても症状が出るようであれば、手術を検討します。 膝の裏には大事な血管や神経が通っているので、手術の際にはMRIで嚢胞と神経や血管との位置関係を確認し、これらを保護しながら嚢胞を切除することが必要です。 また、変性・断裂した半月板の処置も必要です。膝関節の外科手術に精通した整形外科専門医に診てもらうのがいいでしょう。

(この答えは、2020年4月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)