【質問】椅子に座ると痺れが出ます

5年ほど前から、椅子に座ると左の太腿の裏と両足の裏に痛み(痺れ)が出ます。 ベッドに仰向けで寝た時も同じような症状が出ますが、翌朝には痛みが軽減しています。 以上の動作以外では、症状は全くありません。 整形外科でエックス線検査やMRI検査を受けましたが、原因不明でした。 原因と治療法を教えてください。
●60歳・男性


【答】

両足の裏に痺れがみられる場合は、 「腰部脊柱管狭窄症(馬尾型)」「糖尿病神経障」』が疑われます。 しかし、歩行は問題なくできている様子であること(間欠跛行がない)、整形外科でMRI検査をしていること(脊柱管狭窄を指摘されていない)、 既往歴に糖尿病がないことを考えますと、これらの病気ではないと思われます。 椅子に座ったときや仰向けに寝た時には、お尻が圧迫されます。 お尻の奥には坐骨神経が存在します。坐骨神経痛はお尻の奥の部分で筋肉(梨状筋)の下のトンネルを通っています。 椅子に座ったときや仰向けに寝た時には、このトンネルの部分で、坐骨神経が筋肉で圧迫される可能性があります。 圧迫によって坐骨神経が麻痺すると、足首から先の動きが悪くなり、脚の表や裏の感覚が鈍くなります。 また、麻痺するまでにはなっていなくても、下肢に痛み(痺れ)が出るということは、坐骨神経が刺激されているのだと思います。
診断は、まずお尻のどの部分が圧迫されると太腿の裏と両足の裏に痛み(痺れ)が出るのかをはっきりさせる必要があります。 その個所に坐骨神経を圧迫する腫瘍などがないかどうかを確認したほうがよいと思います。 もし圧迫している腫瘍などがあれば、それを手術で摘出する必要があります。 腫瘍などがない場合は、姿勢の工夫や器具の使用によって、坐骨神経への刺激を避けるようにするのがよいと思います。 座ったときにお尻の圧迫が強くならないように、また、同じ場所が圧迫されないように、座布団や円座クッションを敷いてみるのもよいでしょう。 神経への刺激を避けるだけで神経の炎症が治まり、自然と症状が軽減する場合もあります。
その他の治療としては、坐骨神経に局所麻酔を注射する坐骨神経ブロックや、神経障害性疼痛の治療薬の内服などもあります。 まずは自分でできる工夫を行ってみることをお勧めします。

(この答えは、2020年9月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)