不整脈・狭心症対策に『ゴボウ茶』

ゴボウ』は心臓病の人に多い高血糖や高脂血を改善し、血管を強化する、まさに心臓若返り食。 ゴボウの心臓強化成分の主役「ルチン」は薬に使われるほど強力で、「クキゴボウ茶」なら効率よく摂れます。

■ゴボウ

●中性脂肪を減らし、糖の吸収を抑える

心臓病の患者さんには、高血糖や高脂血・高血圧などの生活習慣病を併発している人が多いと言われています。 高血糖は、本来エネルギーとして消費されるべきブドウ糖が血液中に過剰にある状態。 高脂血は、血液中にコレステロールや中性脂肪などの脂質が異常に増えた状態です。 高血糖・高脂血・高血圧などの生活習慣病は動脈硬化を加速度的に進行させます。 すると、心臓病を引き起こす危険度が、健康な人の6~7倍も高まると言われています。 そのため、心臓病を予防するためには、動脈硬化を招く生活習慣病の改善が必要不可欠なのです。

最近になって、動脈硬化を抑える優れた働きがある食品として『ゴボウ』が注目を集めています。 皆さんもよくご存知の、あのゴボウです。ゴボウに含まれる成分の中で特に注目されているのが、 水溶性食物繊維の「イヌリン」です。イヌリンは体内で脂肪酸を合成する酵素の働きを抑え、 血液中の中性脂肪を減らす働きのあることが、多くの研究で立証されています。 さらに、イヌリンには、胃腸を通過するときにゼリー状となって糖を絡め取る働きもあります。 イヌリンは、人間が消化できない成分なので、絡め取られた糖は体内に吸収されにくくなるのです。

以上のような研究結果を受けて、国立健康・栄養研究所でも「イヌリン経口摂取によって高トリグリセライド血症 (中性脂肪が高い病気)に有効」と評価しています。


●動脈硬化や血圧の上昇も防ぐ

ゴボウには、イヌリンのほかにも、オリゴ糖やクロムなど、さまざまな成分が含まれています。 オリゴ糖とは、大腸内の善玉菌のエサとなって、その増殖を助ける糖質の一種。 ゴボウに含まれているのは、フラグオリゴ糖という種類で、小腸を素通りして大腸に直接届き、善玉菌のエサになります。 そして、善玉菌は増えれば便秘の予防に役立ちます。

クロムは、ミネラルの一つ。人間の体内では肝臓や腎臓などに存在し、脂質の代謝を活発にして、動脈硬化や高脂血の予防に役立つ とされています。さらにクロムには、インスリンの働きを強めるとされます。 インスリンの働きが低下すると、血糖を正常に保とうとして、膵臓からインスリンが多く分泌され、 血液中にインスリンがダブついてきます。インスリンには血管壁の細胞の増殖を促す働きもあるため、血液中にダブつくと、 血管壁が厚くなって動脈硬化が進みます。そうなると血流が悪くなり、血圧が高くなってしまいます。 こうして起こる高血糖や高血圧の予防にも、クロムは役立つとされています。

また、ゴボウの皮にはサポニンが多く含まれています。サポニンには、血管に付着した脂質を除去して、高コレステロールや 高中性脂肪を改善させる働きがあるとされます。サポニンは活性酸素の害を打ち消す抗酸化作用も強力とされ、 動脈硬化の原因となる脂質の酸化を防ぎ、血管の老化を改善して正常な状態に保つと考えられています。 さらに、サポニンには、体を病原体などから守る免疫力を高め、風邪やインフルエンザなどの感染症を防ぐ働きもあると言われています。

また、ゴボウには、イヌリンのほかにも、不溶性食物繊維のヘミセルロースやリグニンなども豊富に含まれています。 食物繊維と言えば、便通を促す働きが有名ですが、このことは高血圧を防ぐ働きにもつながります。 便秘をして排便時に息むと、血圧が一気に上昇します。ヒトによっては最大血圧が50ミリ以上も上昇することがあります。 便通がスムーズになれば、こうした危険も回避するわけです。 このようなゴボウは、イヌリンなどの食物繊維やオリゴ糖、クロム、サポニンといった成分の相互作用で、 高血糖・高脂血・高血圧といった生活習慣病の予防・改善に役立つとされています。 さらに、ゴボウには、「ルチン」という、血管を強化して血液も促す、優れた働きのある成分も含まれています。


■クキゴボウ茶

●ゴボウの茎には貴重な成分が豊富

皆さんが食材として利用するのは、ゴボウの根の部分であり、茎や葉はあまり見たことがないでしょう。 ところが、実はゴボウの茎にも、高血糖・高脂血・高血圧といった生活習慣病の予防や改善に役立つ成分が含まれているのです。 ゴボウの茎には「ルチン」という成分が豊富に含まれています。 ルチンは1930年代に発見された栄養素で、以前はビタミンPと呼ばれていました。 実際には、ルチンはビタミンではなく、ポリフェノールの一種です。 ルチンの豊富な植物としては、韃靼そばが有名ですが、ゴボウの茎には韃靼そばに匹敵するほどのルチンが含まれているのです ルチンには、血管の柔軟性を保ち、丈夫にする働きがあります。具体的には、血管壁に弾力を持たせるコラーゲンを作るのに 欠かせないビタミンCの働きを助けて、毛細血管を強化します。こうしたルチンの働きは、動脈硬化の予防や改善に役立ちます。 また、ルチンには、血管を収縮させる体内の酵素の働きを抑えて、血液を流す作用や、抗炎症作用もあります。 そのためルチンは血管拡張や出血性の病気を防ぐ薬として、高血圧や高血糖などの治療にも用いられています。

ゴボウの根に加えて、ルチンの豊富な茎も取れば、血流を促す働きや余分な糖・脂質を減らす働きが強化され、 血管も丈夫になります。そうなれば高血糖・高脂血・高血圧といった生活習慣病が抑えられ、 心臓病を招く動脈硬化を防ぐ働きが期待できます。 ゴボウの根や茎に含まれる成分を効率よく摂るには、『クキゴボウ茶』を手作りするのが一番です。 ゴボウを料理に用いる場合、普通は皮をそぎ落とします。 しかし、これではゴボウの皮に含まれているサポニンを捨ててしまうことになります。 また、イヌリンなどの食物繊維やオリゴ糖といった成分は、ゴボウの皮の付近に多く含まれています。 そのため、ゴボウの皮を取り除いてしまうと、そうした成分が失われてしまうのです。 そこで、ゴボウの皮も茎も丸ごと使って作るクキゴボウ茶をお勧めします。 作り方は下記を参考にしてください。さらに、クキゴボウ茶を作った後に残る出し殻も食べれば、 ゴボウの成分を余すことなく摂ることができます。 ゴボウの茎は一般には市販されていませんが、「八尾若ゴボウ」「越前白茶ゴボウ」といった、 茎も食べられる品種は通信販売などで入手できます。ゴボウの茎が入手できない、手作りするのが難しいという人は、 クキゴボウ茶が市販されているので、それを利用するといいでしょう。

◆茎入りゴボウ茶の作り方

  • ゴボウの根についている泥を流水できれいに落とし、皮ごと包丁で薄切りにする。 茎は水洗いして、斜めに薄切りにする。
  • 新聞紙などにのせて、カラカラに乾燥するまで天日に干しておく。電子レンジで乾燥させてもいい。
  • 2の乾燥させたゴボウをフライパンに入れ、5~10分炒める。ゴボウの色が変わって香ばしい匂いがしたら、火を止める。
  • 3を冷まして、密閉容器で保存する。飲むときは、大さじ1杯程度を急須に入れて湯を注ぎ、 成分を十分に抽出させてから飲む。1日3杯くらい飲むのがお勧め。