『魚採オードブル』の効果・効能

魚採オードブルは血管を広げるのに必要な魚油1gと野菜が簡単に補える食事法で、米国心臓学会も注目。 魚採オードブルは心臓若返りの特効食で、心筋梗塞の患者さんに勧めたら、全員再発ゼロ。 魚採オードブルに多い魚油には突然死を招く心室細動の予防にも効果台と米国ハーバード大の実験で判明

■食物繊維と魚油が動脈硬化を防ぐ

動脈硬化の進行を防いで狭心症を退けるために、お勧めの食事法は、食事の最初に野菜と魚を食べるという 『魚採オードブル』です。魚採オードブルは、野菜と一緒に魚を食べることで、血管が柔軟になって広がり、 動脈硬化を防いで狭心症などの心臓病を予防する食事法なのです。 やり方はとても簡単です。食事の最初に、野菜と魚をオードブル、つまり前菜として食べるようにします。 このとき、10分以上かけて、ゆっくりと味わって食べるようにしてください。 そして、魚と野菜を食べ終わってから、他のおかずや主食のご飯などを食べるようにするのです。 野菜はなるべく食物繊維の多いものを食べるようにします。実は、この食物繊維が、動脈硬化の進行を防ぐのにとても重要なのです。 動脈硬化は血糖値の急上昇で悪化することがわかっています。 その点、食物繊維には食後の急激な血糖値の上昇を抑える働きがあるため、血糖値を低く安定させることができます。 さらに、食物繊維はコレステロールの体外への排出を促すほか、インスリンの分泌を促すインクレチンというホルモンを増やすのに 役立ちます。魚採オードブルに使用する魚は、ブリやサバなど魚油の豊富な青背の魚や、サケ、マグロ(トロ)などがお勧めです。 魚油にはDHA(ドコサヘキサエン酸)という脂肪酸がたくさん含まれており、動脈硬化を退け、血管を若返らせる働きがあります。 ちなみに、米国心臓学会の脂肪酸接種に関するガイドラインによると、狭心症の患者さんには、魚油のDHAとEPAを1日当たり1g 摂るように推奨しています。魚採オードブルにおいても、なるべく魚油を1g以上摂るように心掛けましょう。 主な魚の魚油(脂質)の量やDHA、EPAの量については、下記の票を参照してください。


種類 魚油(g) EPA(g) DHA(g)
アジ 3.5 0.2 0.4
輸入アジ 9.1 0.4 0.9
イワシ 13.9 1.2 1.3
ウナギ 19.3 0.6 1.1
カツオ(秋獲り) 6.2 0.4 1.0
銀ダラ 17.5 0.4 0.4
キンメダイ 9.0 0.3 0.9
銀ザケ 12.8 0.7 1.2
シロサケ 4.1 0.2 0.4
ニジマス 14.7 0.6 1.4
サバ 12.1 0.5 0.7
サンマ 24.6 0.9 1.7
ブリ 17.6 0.9 1.7
マグロ(トロ) 27.5 1.4 3.2


■冠動脈の再狭窄が起こらずビックリ

狭心症などの心臓病をはじめ、高血圧、高脂血症、糖尿病など生活習慣病の治療をしている患者さんには、 薬物治療と併用して、食事のはじめの10分間に野菜を食べることが勧められます。 これに加えて、心臓の若返りに重要な栄養をたっぷり含んだ魚も同時に摂るようにしたのが上記の「魚採オードブル」という 食事法です。魚採オードブルで食べる魚は上記のように、魚油の豊富な青背の魚などがいいでしょう。 なぜなら、魚油には DHA(ドコサヘキサエン酸) EPA(エイコサペンタエン酸)といった栄養素が多く含まれており、狭心症を招く動脈硬化の進行を防ぐ効果が 非常に大きいからです。実際、DHAやEPAには、次のような働きのあることがわかっています。

▼血栓をできにくくする
DHAやEPAは、血栓の元となる血小板を付着しにくく調整する働きがあります。
▼コレステロールを減らす
動脈硬化を招くコレステロールが肝臓で合成されるのを抑えたり、肝臓で分解・排出されたりするのを促す働きがあります。
▼血液を流れやすくする
DHAやEPAは、赤血球の柔軟性を高める働きがあり、赤血球が細い血管の中でもうまく変形して(変形能という)、 スムーズに通過できるようになり、血流をよくします。

こうした様々な働きからもわかるように、DHAやEPAは、血液を浄化して心臓や血管を守る特効栄養なのです。 そのことは、某診療所での患者さんからもわかっています。 現在、その診療所には、心筋梗塞や狭心症で冠動脈にステントを入れて治療している患者さんが5人通院しています。 ステントとは、網目状の筒で、動脈硬化によって冠動脈の細くなっている部分に挿入して血管を広げる医療機器です。 ほとんどの人がステントを挿入して5年以上たっていますが、全員、冠動脈の再狭窄を起こすことなく、 元気に社会生活を送っています。
一般には、ステントを挿入した場合、5年以内に50%以上の人が、ステントを施した場所とは別の場所で再狭窄を起こし、 それが次から次へと続きます。これが当たり前なので再狭窄がゼロだというのと、医師仲間からは驚異的だと感心されているそうです。


■期外収縮の発作も抑えられた

不整脈は、健康な人で何らかのきっかけで起こることがありますが、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患を 患っている人にとっては、命の危険にさらされることも少なくありません。 中でも、最も危険なのが「心室細動」と呼ばれるものです。 心室細動とは、全身に血液を送り出す働きをしている心室が、局所的に小さく揺れ動いている(細動)だけになる状態をいいます。 すぐに適切な処置を取らないと、そのまま突然死を招くことが多い危険な不整脈です。 このような心室細動について、米国ハーバード大学のアレキサンダー博士らは、魚油を使て実験を行い、その効果を報告しています。
実験は、ペースメーカーを植え込んで、人工的に心臓の動きを早めた状態にした犬を3群に分けて、1群には魚油を、 もう1群には大豆油を与え、そして残りの1群には特に油は与えず(対照群)、激しい運動をさせました。 通常、この状態では心室細動が引き起こされます。結果は、油を何も与えなかった対照群と大豆油群の犬には心室細動が起こり、 DHAやEPAが豊富な魚油を与えていた犬では、不整脈が完全に抑えられていました。
また、日本でも、富山医科薬科大学の浜崎智仁教授らの動物事件で、魚油が不整脈を抑える効果が明らかになっています この実験では、マウスを2群に分け、A群のマウスには純度90%の魚油のDHAを尾に注射し、B群では何もしませんでした。 そして、人工的に不整脈が生じるように操作しました。すると、DHAを与えたA群は7匹全部が生存し、 DHAを与えなかったB群の生存は2匹で、5匹が死亡しました。魚油を与えたマウスの生存率100%という結果は、驚くべきものです。
このほか、「心室性期外収縮」という不整脈の予防にも魚油が役立つことが報告されています。 期外収縮とは、心臓が本来より早く拍動したり、脈が飛んだりする不整脈。 この心室性期外収縮のある患者さんを対象に、魚油の効果を調べたところ、やはり、魚油を摂っている人の方が明らかに 心室性期外収縮の発作が抑えられたという報告もあります。
こうした数多くの研究結果を見ると、DHAやEPAを数多く含む魚油には、不整脈の発作を抑える働きが期待できます。 不整脈が気になっている人は、魚油をたっぷり摂れる魚採オードブルを試してみてはいかがでしょうか。