慢性甲状腺炎(橋本病)

■慢性甲状腺炎の症状と特徴

免疫反応によって、甲状腺に慢性的な炎症が起こる病気です。 この炎症が、甲状腺の腫れ(甲状腺腫)やホルモン量の低下を引き起こします。 慢性甲状腺炎は甲状腺機能低下症の代表的な病気ですが、実際に機能の低下がみられる人は少なく、約8割の人の甲状腺機能が正常です。 この病気は子供から高齢者まで幅広い世代で起こりますが、特に30~50歳代に多いのが特徴です。 また、とりわけ女性に多くみられる病気で、発症率は男性の10倍ともいわれています。 ほとんどの人にみられる症状は甲状腺の腫れで、手で触れると表面が硬くゴツゴツとした感触です。 血液中の甲状腺ホルモンが低下してくると、倦怠感、気力低下、冷え、便秘、皮膚の乾燥などの症状が出てきます。 また、むくみや脱毛、体重増加、女性の場合は、月経過多が起こり、ボーっとしやすく活動的でなくなります。 しかし、このような病状が全く現れずに、ただ甲状腺が腫れるだけという人もいます。


■慢性甲状腺炎の原因

自己免疫疾患(ウィルスや腫瘍などの異物を排除する役割を持つ免疫系に異常が起こり、自分の体の成分に対して攻撃を加えてしまう病気)の一つと考えれており、 甲状腺に対する自己抗体が甲状腺機能を障害します。自己抗体がつくられる仕組みはまだ解明されて折らす、体質や遺伝的要素が関係していると考えられています。


■慢性甲状腺炎の治療

甲状腺機能が正常であれば治療は必要ありませんが、将来、機能が低下してくる危険性があるため、定期的に血液検査を受けて経過をみましょう。 甲状腺機能が低下している場合は、甲状腺ホルモン薬を服用します。 甲状腺機能低下が自然治癒する可能性はほとんどありませんが、薬を服用していれば健康な人と同じように生活することができます。 ただし女性は、出産後一時的に甲状腺の機能低下が悪化することがあるので、注意が必要です。 妊娠が判明した時点で、必ず専門医に相談してください。 日常生活では、ヨードを多く含む海藻類を多く摂らないように気を付けましょう。 これは、慢性甲状腺炎の人がヨードを摂り過ぎると甲状腺の機能がさらに低下してしまう危険性があるからです。