ゲーム障害と引きこもり

インターネットやスマートフォンの普及で、特に若者に増えている「ゲーム障害」は、引きこもりの原因にもなっています。

■ゲーム障害とは

「ゲーム障害」とは、ゲームに熱中し、ゲームをする時間をコントロールできなくなって、日常生活に支障を来す状態をいいます。 2019年に、WHO(世界保健機関)はゲーム障害を新しい病気として認定しました。 ゲーム障害では、一日中ゲームをやめられず、学業などやるべきことが後回しになってしまいます。 また、夜中までゲームを続けるために、朝起きられなくなど、生活リズムが崩れてしまいます。 これほどのめり込んでしまうのには、ゲームそのものの仕組みが関係しています。 ゲーム障害に繋がるのは、ほとんどがインターネットを使って行う「オンラインゲーム」です。 オンラインゲームは、内容が絶えず更新され、ギャンブル的な要素もあるために、いつまでも飽きることなく続けるようになりがちです。 また、インターネットを通じて他の人と競ったり、逆に協力して行えるも影響しているでしょう。

●子供を中心に増えている

厚生労働省の調査によると、ゲーム障害を含むインターネット依存が疑われるは(2021年現在)、成人が約421万人、 中学生と高校生が約93万人と推計されています。インターネットやスマートフォンの普及とともに、子供を中心に増えてきています。 子供にとって、ゲームのスピード感が好みに合いやすいことやゲームが学校での中心的な話題の一つであることがその背景にあります。 また、子供の脳は、欲求のコントロールが利きにくく、極端にゲームにのめり込みやすいのです。


■ゲーム障害と引きこもり

ゲームに熱中し過ぎて、学校や会社を休みがちになり、不登校や引きこもりに繋がることは少なくありません。 「学校に友達がいない」「居場所がない」「いじめられた」などのことから、ゲームの世界に逃れるようにして引きこもりの状態になるケースもあります。 こうして起こる不登校や引きこもりは、何か月も続くことが少なくありません。 成人の場合でも、ゲーム障害によって何年も引きこもるケースがみられます。 ゲーム障害でどんな問題が起こったかを聞いた調査では、33%の人が「引きこもり」と回答しています。 また、「朝起きられない」「昼夜逆転」「欠席・欠勤」「退学」「失職」などの回答もあり、これらの問題を抱える人たちの引きこもりに繋がる可能性があります。

●暴力行為や、体の不調の要因にもなる

調査では、「物に当たる・壊す」「家族に対する暴力」などの行為もみられました。 特に、親からゲームのことで注意されたときなどに多く起こっています。 そのほかにも、引きこもってゲームに没頭することで、運動不足になって著しく体力が低下したり、食生活が乱れて栄養が偏ったりしがちです。 また、長時間座り続けることで、エコノミー症候群が起こることもあります。