水の効用〜健康を支える水の飲み方〜

私たちは1日に約2500mlの水を摂取し、排出しています。 新しい水を取り込むことで、体の細胞から血液までが、生き生きとリフレッシュするのです。 私たちの体は、もしも水を3日〜4日間絶たれると死んでしまうほど、水の役割は大きいものです。


■体内の水

毎日、新しく入れ替わる体の中の大切な水

人間の体は、成人男性では約60%が水分で満たされています。女性の場合は脂肪が多いので少し少なく、約55%が水分です。 年齢別では若いほど水分が多く、乳児では約80%、幼児では約70%、60歳になると約50%程度になります。

上記のように、水は私たちの体そのものの大部分を構成していて、体内でさまざまな働きをして有益な効用をもたらします。 たとえば、脳や内臓、筋肉などを構成したり、血液となって酸素や栄養素を細胞に運んだり、 老廃物を運搬したり、発汗によって体温を調節するのも水の大切な役目です。 他に、尿の量を増やして排泄を促進する利尿作用、排便しやすい状況を作る作用や 体内の毒素を薄める効用(解毒・デトックス)、水を飲むことで気持ちを落ち着かせる効用などもあります。

体内の水は、同じものが長くとどまっているのではなく、常に出入りを繰り返しています。 1日に出て行く水分は、尿・便としてと出て行くものが約1600ml、汗・呼吸として出て行くものが約900mlあります。 合計で約2500mlの水分が出て行きますから、この分の水分を毎日補給し続けなければなりません。 体に取り入れる水分は、普通の食事をしていれば、約1000mlを食品から摂取できます。 そのほかに、体内でたんぱく質、炭水化物、脂肪などを代謝することで得られる水が約300mlあります。 残りの1200mlは飲用水で摂取する必要があります。 特に汗を多くかく時期には、1日1500ml〜2000mlの体に良い水、きれいな水を摂る必要があるのです。


●水の効用のいろいろ

こんな体の不調も防ぐ水!

これだけ体にとって効用の高い水ですから、水のとり方しだいで、防げる病気や症状は多いのです。 水を毎日シッカリ飲む習慣をつけ、健康な毎日を送っていきたいものです。

1.便秘改善に対する効用
便は、食べ物のカスや腸内細菌の死骸、それに水分でできており、 水を飲むことで便の水分量が増えれば便のカサが増し、腸が刺激されて便意がおこりやすくなる。 また朝コップ1杯の水を飲むと便意をおこしやすい。

2.肌の老化防止に対する効用
肌のキメやハリは、表皮の保水能力と関係がある。角質層は水分含有量が20%と低いので、水分不足の影響が現れやすい。 肌の若さを保つには、化粧水などでスキンケアをするだけでなく、からだに良い水を飲んで水分補給をすることも重要。

3.疲労回復に対する効用
特に疲れているときは、脱水傾向を伴っていることが多いもの、水を飲むと尿の量が増え、 体内の老廃物の排出が活発になったり、新陳代謝が進むので、疲労回復に効果的。

4.膀胱炎予防に対する効用
女性に多い膀胱炎も予防・治療にはたくさんの水を飲むことがすすめられる。 これは尿をたくさん排出することで、膀胱内の細菌を洗い流すのに役立つため。

5.尿路結石予防に対する効用
腎臓から尿管、膀胱、尿道を尿路といい、そこにできる結石を尿路結石という。 血尿や激痛などの症状がおこりやすい。尿路結石の予防や治療にも水を飲むことが効果的。 大量の水が尿を薄めて結石をできにくくするか、小さな結石ならば尿と一緒に自然に排出されやすい。

6.高尿酸血症・痛風予防に対する効用
血中の尿酸値が7.0mg/dlを超えた状態を高尿酸血症といい、進行すると間接の痛みをおこす痛風になりやすい。 健康な人と比べて尿酸を尿に排出する能力が低下しているので水分をたっぷりとって尿量を増やすことは、尿酸の排出をふやすことにもつながる。

7.高脂血症や動脈硬化予防に対する効用
血中にコレステロールや中性脂肪が多いのはいわゆるドロドロ血液の状態。 将来的に動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞などを招きやすい。 十分に水分を補給することは、血液の粘度を下げ、サラサラ血液を保つのに役立つ。

◆夏バテ防止にも・・・・・

毎日30度以上の暑さが続く8月、きれいな水をシッカリ補給し、夏バテを乗り切っていきたいものです。
では、夏バテせずに肌もツルピカを維持していくには、どのぐらいのキレイな水を補給すれば良いのかというと、 1日に汗や尿、便などで体から出る水分は、2.5リットル。食事や体内合成で入る水が、1.3リットル。 その差は、1.2リットルですが、夏は、汗を多くかくので、 1日1.5〜2リットルの体に良い水、きれいな水を摂る必要があります。


◆上手な水分のとり方3カ条

  • ▼1日1.5〜2リットルの水をシッカリ飲む。食事量が少ない人や、食事を抜いてしまった人は、 その分多めに摂ることが大事。
  • ▼水分は寝ている間にも約1リットル体外に出ます。朝は水分が不足している状態のため、 起きたら0.5リットル程度は水分を補給しましょう。
  • ▼水は、なるべく常温でゆっくり飲むほうが健康と美容に良い。

●家庭の水道水はそのまま飲んでもよいのか?

浄水法の技術が向上し、水道水は改良されています。しかし依然として、残留塩素、微量のトリハロメタン、 場所によっては古い鉛管から溶解する鉛などを含有するという問題が残っています。 塩素は皮膚の細胞を傷つけることや、食品のビタミンCを破壊することなどが知られています。 トリハロメタンは肝機能、腎機能への影響や、発癌性が懸念されている物質です。 水中の有機物と塩素が結合することで発生し、塩素量が多いとトリハロメタンも増加します。 一般にトリハロメタンと呼ばれている物質は、クロロホルム、ジプロモクロトメタン、プロモジクロロメタン、 プロモホルムの総称です。水道法の水質基準の省令では、水道水に含まれる総トリハロメタンは0.1ml/l以下 であることが定められています。ごく微量であるため体への害はほとんどないと考えられていますが、 有害物質であることに変わりはないので、トリハロメタンをゼロにするための取り組みが行われています。

現在、水道局では高度浄水処理という浄水方法を導入し始めています。高度浄水処理にはオゾン処理法、 活性炭処理法、生物処理法などがあり、トリハロメタンの除去も可能です。 ただし、高度浄水処理によって浄水された水も、浄水場を出るときにはわずかですが塩素が添加されます。 水道水が家庭の蛇口に届くまでに細菌が入り込む可能性があるからです。


●自分にあった水で健康な毎日を過ごす

厚生労働省水道課では2007年、「健康のため水を飲もう推進委員会」を立ち上げました。 熱中症や脳梗塞などを防ぐなどの健康障害や事故を防ぐために、水分補給が大切であることを啓発するためのものです。 推進委員会がまとめた「健康と水の基本情報」にも書かれていますが、のどの渇きを感じたときはすでに 脱水症状が始まっているため、その前にこまめに水分補給をすることが大切です。 ポイントは、水分が不足しやすい就寝前、起床時、スポーツ中とその前後、入浴の前後などに意識して飲むことです。 ただし、水はたくさん飲むほどよいというものではありません。「安心で自分にあった水を、自分に適した量飲む」 ことを毎日の健康生活の基本にしましょう。


●水を選ぶ

毎日入れ替わる体の水分を、安心できるきれいな水で補給したいと思うのは当然のことでしょう。 現在では飲用水に関連した商品は、さまざまなタイプの浄水器や整水器、何百種類ものミネラルウォーター、 特別な機能を付加した水など非常に多くのものがあります。 選択肢が広がるのはいいことですが、何を基準にして選べばいいのか、迷う人は多いのではないでしょうか。 良い水は、用途によっても異なってきます。安全性や目的を考えて、自分にあった水を慎重に選びたいものです。