現代型鬱病(うつ病)

●現代型のうつ病は”単なるわがまま”などと思われやすい。
●ストレスや心理的要因が大きいことから、精神療法が重要になる。
●生活リズムを正して、前向きな行動をとれるようにしていく。


■「現代型鬱病(うつ病)」とは?

従来とは異なるケースの鬱病(うつ病)を”現代型”と呼ぶ

現代型の鬱病(うつ病)”という言葉が使われることがあります。 これは、医学的な病名ではありませんが、一般社会では広く使われ始めています。 鬱病(うつ病)というと、几帳面や生真面目で、他人に気を遣いすぎる人が発症する病気とされています。 こうした鬱病(うつ病)の特徴に当てはまらない病状があるのが現代型の鬱病(うつ病)で、それにより苦しんでいる人は大勢います。 正式な病名ではありませんが、現代型の鬱病(うつ病)という名称を使うことで、新しい治療の観点が見えてきたり、 周囲の人も対応のコツが見えやすくなる面もあります。


■現代型鬱病(うつ病)の特徴

典型的な症状のほか、一時的に気分がよくなることもある

現代型の鬱病(うつ病)でも、鬱病(うつ病)の典型的な症状の多くが見られます。 そのために辛さを感じていて、日常生活に支障を来しているため、 鬱病(うつ病)と診断されます。また、現代型の鬱病(うつ病)では、 「食べ過ぎ」や「眠りすぎ」といった症状が現れることがあります。 これは典型的な症状とは正反対のように思えますが、鬱病(うつ病)では、こうした症状が現れる場合もあり、 診断基準の中に加えられています。
現代型の鬱病(うつ病)で問題になるのは、状況によって気分が変わる点です。 鬱病(うつ病)では、何に対しても興味が湧かず、 沈み込んだ状態が続きます。ところが、現代型の鬱病(うつ病)では、自分の好きなことを行うなど、何かきっかけがあると、 一時的に気分がよくなることがあります。ただ、このようなことがあるとしても、ほとんどの時間は憂うつで沈み込んでいるのです。 現代型の鬱病(うつ病)は、若い人に多い、対人関係に敏感である、という特徴もあります。 また、何かがうまくいかないようなとき、自分ではなく、周囲の人を責める傾向があるともいわれています。


●”新しい鬱病(うつ病)”ということではない

現代型の鬱病(うつ病)は、新しい鬱病(うつ病)というわけではなく、 典型的な症状とは異なる特徴を伴うことが多いために以前は鬱病(うつ病)と されていなかったと考えられます。日本では30年ほど前から報告されており、研究の対象となってきました。 また、欧米でも現代型の鬱病(うつ病)を新しい鬱病(うつ病)とはみなしていません。