現代型鬱病(うつ病)の治療

現代型鬱病(うつ病)に対しては抗うつ薬は効きにくいといわれています。 薬物療法だけで改善させようとせず、薬は補助的な治療と考える方がよいでしょう。 ただ最近は、「双極性障害」の治療で使われる薬が効果的な場合があるといわれてきています。
現代型鬱病(うつ病)は、ストレスなどの心理的要因や性格的要因が関係していることが多い病気です。 従って、精神療法が重要になってきます。中でも、最近注目されているのが「認知行動療法」です。


■現代型鬱病(うつ病)の治療

●現代型鬱病(うつ病)の治療①

薬物療法の効果は得にくいが、双極性障害の薬が効くことも

現代型の鬱病(うつ病)に対しては、体系的な治療法の研究は行われていません。 それぞれの医療現場で、医師の経験に基づいた治療が行われていると考えられます。 基本的には、抗うつ薬は効きにくいといわれています。 薬物療法だけで改善させようとせず、薬は補助的な治療と考える方がよいでしょう。 ただ最近は、「双極性障害」の治療で使われる薬が効果的な場合があるといわれてきています。

◆双極性障害とは?

鬱病(うつ病)と同様に抑うつ気分が現れますが、それだけでなく、活気がありすぎる「躁状態」も現れるのが特徴です。 かつては「躁鬱病」と呼ばれていましたが、鬱病(うつ病)とは病気の成り立ちも治療法も全く異なっています。 ただ、鬱病(うつ病)の患者さんの中には、過去の経過を詳しく尋ねると、軽い躁状態を経験している人がいます。 そして、このような人には、双極性障害の薬が効くことがあるのです。 現代型の鬱病(うつ病)には、このようなタイプが多いといわれています。過去に躁状態を経験しているような場合には、 双極性障害の薬の使用も検討されます。これについては医師とよく相談してください。

【関連項目】:『双極性障害(躁うつ病)』


■現代型鬱病(うつ病)の治療②

精神療法の中でも、認知行動療法が効果的

現代型の鬱病(うつ病)は、基本的に薬が効きにくく、ストレスなどの心理的要因や性格的要因が関係していることが多い病気です。 従って、精神療法が重要になってきます。中でも、最近注目されているのが「認知行動療法」です。 認知行動療法は、ものの見方を変えることで、気分を変えられることを学び、それを症状の改善につなげる治療法です。 まず、現実にあった「状況」をノートに記します。その時どのような「気分」になり、どのような理由からそうなったのか 自分の「考え」を記入していきます。次にそれ以外の考えを探り、記入していきます。 そして、もしそうだった場合に、どのような気分になるかを記入します。
このような作業を行うと、同じ状況であっても、考え方を変えることで、気分が変わるということがわかっています。 この方法を学び、繰り返しトレーニングすることによって、鬱病(うつ病)の症状が改善していきます。 これが認知行動療法で、基本的には、医師の指導のもとで行われる治療法です。

●日常生活で心掛けること

起床時間を一定にするなど、生活リズムの改善に取り組む

鬱病(うつ病)に対する日常生活のアドバイスでは、休養を勧めるのが一般的です。 しかし、現代型の鬱病(うつ病)では、何もせずに休んでいることが、必ずしも良いとは限りません。 まずは起床時刻を決め、食事を規則正しく摂るなど、生活のリズムを保ちましょう。 なるべく外に出て人に会うことも勧められます。

●周囲の人ができること

患者さんが前向きな行動をとろうとしている場合には、それを止めるのではなく、背中を押してあげるような対応を取ることが 必要です。一時的に気分がよくなるため、鬱病(うつ病)とは思えないこともありますが、従来の鬱病(うつ病)とは異なる病状によって 患者さんたちが苦しんでいるのは事実です。周囲の人はそのことを冷静に受け止め、患者さんを見守ってやることが大切です。