【質問】1ヵ月に1度ほど「におい玉」がでます

3年ほど前から1ヵ月に1度ほどの頻度で、うがいをしたときなどに「におい玉」がでます。 大きいものは1cmほどで、非常に臭います。口臭が強くなり、喉が塞がってきた感じがある時期に出ることが多いです。 初めてにおい玉が出た時に近くの耳鼻咽喉科を受診したら、「気にすることはない」と言われましたが、とても憂鬱です。 におい玉の原因、体への影響、治療法などについて教えてください。
●64歳・女性


【答】

「におい玉」は俗名で、一般的には口蓋扁桃にできる「膿栓」のことです。 口蓋扁桃は、口の奥に見えるアーモンドのような形をしたリンパ腺の一種です。 ここには、「腺窩」と呼ばれる多くの窪みがあり、この窪みの奥にもブドウの房状に多数の小さな窪みがあります。 ここから免疫物質を含んだ分泌液を出し、口腔内の衛生環境を保ちます。 歯槽膿漏(歯周病)や歯肉炎、 虫歯などがあると口腔内の細菌が増加し、 唾液の分泌が低下して口腔内が乾燥気味だと、腺窩に雑菌が増殖して異臭を伴う膿栓が溜まりやすくなります。 唾液の分泌低下は、加齢のほか、糖尿病ストレスのある生活などでも起こります。 また、若くても蒸し暑い環境での運動や無理なダイエットなどで水分補給が足りない場合は、 口腔内に雑菌が増殖して異臭のある膿栓を作りやすくなります。

口臭がある場合は、 できれば口臭専門の歯科を受診して、口腔内の衛生環境をチェックしてもらいましょう。 口臭に効果的な薬を含んだうがいも有効です。 また、口腔内の雑菌の増殖を抑えるには、意識的に水分補給を行ったり、ガムを噛んで唾液を増やしたりすると効果的です。 口腔内の病気や衛生環境が改善していけば、口腔内の雑菌も減り、膿栓は消失していくはずです。 膿栓が溜まっても、雑菌は唾液によって胃へ洗い流され、胃液で殺菌されるため、体への影響はありません。 膿栓を気にしすぎると、精神的なイライラなどから、口を開けて膿栓を爪や楊枝の先などでほじりだす人がいますが、 粘膜を傷つけて炎症を起こす危険性があるため、絶対に避けてください。

耳鼻咽喉科では、生理食塩水による腺窩洗浄という方法で膿栓を洗い出すことがあります。 ただ、洗浄してもすぐに膿栓ができてしまう人もいます。 この場合、口蓋扁桃に慢性的な炎症が起こっていることがあります。 その多くはかつて何度も扁桃炎を繰り返したことがあり、このようなケースでは口蓋扁桃の摘出術を検討することもあります。 口蓋扁桃の摘出術は全身麻酔で行い、手術後、数日間は咽頭内の痛みがありますが、約1週間で食事が摂れるようになり、退院となります。 いずれにしても、膿栓が気になる場合は、歯科や耳鼻咽喉科で相談されるとよいでしょう。

(この答えは、2019年4月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)