【質問】慢性中耳炎でカビの発生があると診断されました

28歳の時、右耳の慢性中耳炎のため、鼓膜形成手術を受けました。 手術後8年目に鼓膜に支障を来し、補聴器を使用することにしました。 最近、再びカビの発生があると診断され、治療を受けています。 カビの種類や発生原因、今後の治療について教えてください。 完治するのか心配です。
●60歳代・男性


【答】

カビの発生は「外耳」に起きているものと想定してお答えします。 カビは、一般的には湿潤(濡れている)の条件の下で発生します。 ご質問にある「手術後8年目に鼓膜に支障を来した」ということの指す意味が、鼓膜に再び穴が開く「再穿孔」によるものということであれば、 外耳の湿潤の原因としては 、中耳炎の再発による「耳漏(じろう/耳垂れ)」の可能性が考えられます。 また、ご質問者は補聴器を使っていらっしゃるということですが、この場合は中耳に異常がなくても、補聴器の装用によって、 稀ではありますが、外耳が湿潤することがあります。 そもそも一側(ご質問者の場合は右側)の伝音難聴(中耳炎による難聴で、一般的に高度難聴にはなりません)に対して、補聴器の装用が必要なのでしょうか。 あるいは、対側(左側)に、右側の手術前から高度難聴が存在していたのでしょうか。 これらの不明点が明らかにならなければ、適切な治療と完治の可能性についてお答えすることはできません。 ただし、もし鼓膜に再穿孔があるのであれば、再手術をすることをお勧めします。 この場合、電音難聴が中等度以上であれば、「鼓室形成術」で耳小骨連鎖の再建も行われるのがよいと思います。 少なくとも中耳炎のみが原因で起きている難聴であれば、それが片側であっても両側であても、手術によって聴力の改善が期待されますので、 補聴器の装用は必要ありません。 外耳に発生したカビに対しては、抗真菌薬を局所に塗布する治療がありますが、医師の指導の下で、イソジンを希釈した液で、 1日数回、耳を洗浄したり、点耳したりする方法をお勧めします。 ただし、抗真菌薬も(高濃度の)イソジンも、鼓膜の孔を通して内耳に入り込むと内耳毒性による感音難聴を来す可能性がありますので、 鼓膜穿孔がある場合は、いずれにしても再手術を受けることをお勧めします。 なお、カビの種類が治療に影響することは、特にありません。

(この答えは、2019年4月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)