質問:鼻中隔湾曲症の手術を勧められています

最近、何度も副鼻腔炎にかかるようになり、薬を飲んでもなかなか治りません。 担当医から「鼻中隔湾曲症なので手術をした方がよい」と言われましたが、手術によって鼻中隔が貫通したり、術後、少しの衝撃で 鼻が曲がったりする可能性があると聞いて躊躇しています。手術によって起こるリスクを回避する方法はあるのでしょうか。 また、手術せずに副鼻腔炎を治す方法があれば、教えてください。
●42歳・男性


【答】

鼻にある2つの穴のそれぞれの奥には、鼻腔という空気の通り道があります。 鼻腔は「鼻中隔」により左右に分けられています。 鼻中隔は軟骨と骨で構成され、表面は鼻腔粘膜で覆われています。 鼻腔の周りには副鼻腔という空洞があり、自然口という小さな孔で繋がっています。 成人の80~90%は、程度の差はありますが、鼻中隔が左右どちらかに曲がっています。 幼少時に顔面や頭蓋骨が発育する過程で湾曲が形成されますが、鼻の打撲など外傷が原因で生じることもあります。 湾曲が強いと凸側の鼻腔が狭くなるため、鼻詰まりが生じやすくなります。 このような状態を「鼻中隔湾曲症」といいます。

ご質問者のように鼻中隔湾曲症があると、鼻かぜなどの時に凸側の鼻水が出にくくなるので、鼻腔に起きた炎症が副鼻腔に広がって 副鼻腔炎を起こすことがあります。 このような副鼻腔炎は薬を飲んでも治りにくく、いったん治ってもしばしば繰り返します。 副鼻腔炎の症状が悪く、日常生活に支障があるようであれば、鼻中隔湾曲症の治療が勧められます。 鼻中隔湾曲症は形の異常なので、薬では解決できません。治療の第一選択は手術で、内視鏡を用いて鼻の穴から湾曲を矯正します。 具体的には、湾曲した鼻中隔を覆っている左右の鼻腔粘膜を剥がし、鼻中隔を露出した後に湾曲した部分の骨や軟骨を切除し、 まっすぐになったら、剥がした粘膜を元に戻して手術は終了です。通常、出血は少量で再発もほとんどありません。 鼻中隔がまっすぐになると鼻詰まりが改善し、睡眠も快適になります。 また、鼻かぜを引いても鼻をかむことで鼻水を出せるので、治りやすくなります。

手術による弊害についてですが、鼻の支えが少し弱くなるので、鼻を強くぶつけると変形する可能性があります。 したがって、ボクシングやラグビーのように顔面を打撲する機会が多いスポーツをする患者さんには手術を勧めません。 また、術後の傷の治り方がよくないと、鼻腔粘膜や残った軟骨が欠損し、左右の鼻腔が貫通する「鼻中隔穿孔」という状態になることがあります。 鼻出血や鼻カス、呼吸時にピーピー音がするなどの原因になります。 リスクは数%ですが湾曲の程度により異なるため、手術を検討する場合は、担当医とよくご相談いただくことが大切です。

(この答えは、2018年5月現在のものです。医療は日々進歩しているので、後日変わることもあるのでご了承ください。)