【質問】補聴器をつけても聞き取りにくい

補聴器の装着を始めてから6ヶ月ほどたちますが、いまだによく聞くことができない状態です。 調整してもらっても聞き取りにくく、困っています。
●80歳代・男性


【答】

補聴器は、基本的には音の大きさを増幅し、 音の受容器のある内耳、およびそれに引き続く神経・中枢に音を伝えやすくする医療機器です。 近年の補聴器には周波数によって音の増幅に差をつけたものや、外部雑音を抑制する機能が付いたものなどもあり、以前より効果が得られやすくなっています。 補聴器の効果が得られやすいのは、外耳から中耳にかけても音を伝える機構に何らかの障害がある「伝音難聴」です。 内耳より中枢側に問題のある「感音難聴」の場合、補聴器で増幅された音を言葉として理解するには、中枢がその音に慣れることが必要で、 これには数か月程度かかると考えられています。

聞こえに問題がある場合、まずは補聴器相談医を受診し、難聴の原因やその程度を診断してもらうことが必要です。 この最初の受診がとても重要で、難聴の程度によっては身体障害認定を受けられたり、両側補聴器の装用が勧められたりするほか、 人工内耳の適応になる場合もあります。 もちろん、病気が原因となっている難聴に対しては、その病気の治療をすることになります。 そのうえで補聴器の適応となる場合は、補聴器相談医に「補聴器適合に関する診療情報提供書」を書いてもらい、 認定補聴器技能者のいる認定補聴器を購入します。このような手続きを踏めば、10万円以上の補聴器(医療機器)には医療費控除が認められています。

補聴器を使いこなすためには、購入時のフィッティングだけでなく、その後の調整やメンテナンスがとても大切です。 調整には数か月、場合によっては年単位の時間がかかることもあります。 つまり、補聴器を上手に使うには、かなりの時間と根気がいるということです。

いずれにしても、聞こえに違和感などがある場合は、補聴器相談医とよく話し合うことが必要です。 難聴認知症発症の大きなリスクであることは世界的にも認知されていますので 、補聴器と正しく、有効に使っていただければと思います。

(この答えは、2021年4月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)