【質問】歩きはじめにかかとが痛みます
3週間ほど前、歩行開始時にかかとに痛みを感じました。整形外科で「足底腱膜炎」と診断され、低周波治療と赤外線治療を受けています。
週に数回、卓球とウォーキングを行っていますが、運動は継続してもよいでしょうか。
●70歳代・男性
【答】
定年退職などを機にスポーツやウォーキングを始め、 かかとの痛みで整形外科を受診される患者さんは多いのですが、その原因の代表が「足底腱膜炎」です。 足底腱膜炎とは、足の裏の皮膚と足底筋(足の裏の筋肉)の間を安定させるように繋いでいる丈夫な結合組織で、 アキレス腱にに伝えられた力をかかとの骨(踵骨)で方向転換をして足の指に伝える働きがあります。 足底腱膜炎では、朝起きた後の最初の一歩で激痛を感じるのが特徴です。 かかとの骨の前の辺りを押すと強い痛みが現れる場合は、足底腱膜炎の可能性があります。 履き慣れない靴で長い距離を歩いたり、ジョギングなどを急に始めたりすることが発症のきっかけになります。 運動を行うと徐々に痛みが強まり、歩行が難しくなることもあるので、痛みがある場合は運動を控えることが大切です。 原因は、アキレス腱の力を足先に伝えるストレスの繰り返しによって、足底腱膜を構成しているコラーゲン繊維に微小な断裂が生じることです。 また、ふくらはぎの筋肉やアキレス腱の拘縮が痛みの原因になっている場合もあります。
治療には、足の指を反らせて足の裏を伸ばす足底腱膜のストレッチや、階段などに足先をのせて立ち、ゆっくりとかかとを下げるアキレス腱のストレッチが有効です。
足底腱膜にかかる衝撃を和らげる専用のクッション(シリコン製のヒールパッド)も役立ちます。
疼痛部位の血流を増やすために
低周波治療や
赤外線治療を行うこともありますが、治療効果の科学的報告はありません。
難治性の足底腱膜炎には、最近は衝撃波を足底腱膜照射する「体外衝撃波治療」が健康保険の適用になっていますが、
装置を持つ医療機関の数は限られています。
長期間症状が軽快しない場合は、足底腱膜の損傷部位や踵骨棘を切除する「関節鏡視下切除術」が検討されることもあります。
なお、かかとの痛みの原因には、骨粗鬆症による「脆弱性骨折」や
足底腱膜にしこりができる「レダーホース病」などもあります。
痛みがある場合は、足の病気に詳しい「日本足の外科学会」の会員の医師に相談するのがよいでしょう。
(この答えは、2019年12月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)