【質問】骨粗鬆症の最新療法は?
5年前より骨粗鬆症で、背骨を圧迫骨折しました。いろいろな治療を受け、現在は薬の服用と、1年に2回の注射治療をしています。 この治療でよいでしょうか。最新の治療はありますか。
【答】
骨粗鬆症の治療は、薬、運動、食事、生活の工夫からなります。 筋力やバランス能力を向上させる運動を行い、カルシウムや ビタミンDを多く含む食事を摂り、 転ばないように服装や住まいの工夫を行うとともに、薬を使用することが重要です。 薬には、骨が壊されるのを抑える薬(骨吸収抑制薬)、骨の形成を助ける薬(骨形成促進薬)、足りない栄養素を補う薬(その他)の3つがあります。 骨吸収抑制薬には、ビスホスホネート(毎日、週1回、4週または月1回の内服、月1回または年1回の注射)、抗ランクル抗体薬(6ヵ月に1回注射)、 サーム(毎日内服)などがあり、骨形成促進薬には、副甲状腺ホルモン薬(毎日自己注射、週1回注射)、抗スクレロスチン抗体薬(月1回注射)があり、 その他の薬には、活性ビタミンD3薬(毎日服用、このうちのエルデカルシトールは骨吸収抑制作用も有する)、ビタミンK2薬(毎日服用)などがあります。 このうち、骨形成促進薬は高価であるとともに、骨折の危険性が高い骨粗鬆症(骨密度が若年成人平均値の70%以下で骨粗鬆症に伴う骨折も有する場合、 骨密度が若年成人平均値の60%未満の場合、2個以上の圧迫骨折がある場合、1個の圧迫骨折でその程度が強い場合など)のみに使用が許可されています。
ご質問者は70歳代ですから、治療の目的は70歳以上で急速に発生が増加する「大腿骨近位部骨折」を予防することになると思います。 この骨折を予防できる証拠を有する薬は、ビスホスホネートの一部、抗ランクル抗体薬、抗スクレロスチン抗体薬に限られます。 現在お使いの薬は、年に2回の注射であれば抗ランクル抗体薬であると考えられ、骨吸収抑制薬では最強の薬です。 骨密度が順調に増加していれば、このまま治療を継続されるのがよいと思います。 骨密度の増加が頭打ちになり、骨折の危険性が高い骨粗鬆症に当てはまる場合は、抗スクレロスチン抗体薬への変更も検討されます。 いずれにしても、圧迫骨折がすでにあるようですので、「骨密度が若年成人平均値の80%程度」を目指して治療を継続していただければと思います。
(この答えは、2020年1月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)