COPD(慢性閉塞性肺疾患)の薬物療法②
■COPD(慢性閉塞性肺疾患)の薬の使い方は?
●吸入が苦手で、きちんと薬が吸い込めているのか心配
- ▼吸入薬をうまく使うコツは?
- COPDの吸入薬には「噴霧式」と「ドライパウダー式」があり、種類によって吸入のコツが異なります。 最近増えているドライパウダー式の薬は1回分がごく微量で、吸いこんだという実感に乏しいようですが、 吸入口に黒い布を当ててその上から吸うと、裏側に白い粉が付くのが見えるので、一度確かめてみるのもよいでしょう。 吸入薬がきちんと使えないと、COPDの治療はなかなかうまくいきません。 使い方がよくわからなかったら、医師や看護師、また薬剤師などに、何度でも聞いてください。 目の前で吸入して、正しくできているか確認してもらうとよいでしょう。 高齢の患者さんの場合は、家族も一緒に説明を聞いて、きちんと使えているかどうか、見守るようにしてください。
●吸入薬を何種類も使うときの使い方は?
継続して使う薬については、通常、朝・昼・晩・夕・就寝前などと時間を決めて吸入します。 例えば、朝、3種類を使うことになったら、間をあけずに続けて吸ってかまいませんが、使い忘れを防ぐためにも 使う順番は決めておきます。3つをいつも同じように並べて右から順に使うなど自分なりのルールを作っておくことも大切です。
- ▼必要に応じて追加する短時間作用型の気管支拡張薬は、どのように使う?
- 屯用には、効果が早く現れるSABAを主に使います。一般に「息苦しくなったら使う」といわれますが、本当は 「息苦しくなる前に使う」のがコツです。いつも薬を携帯して、この坂を上ると息切れがするなどと予想されるときに、 あらかじめ吸入します。それから坂を上れば、途中で苦しくなって動けなくなることも防げます。 また、朝の起床時が特に苦しいという人は、起きたらすぐに寝床で吸入することもあります。 生活に合わせて必要な時にタイミングよく使うことが大切です。
●COPDの薬はずっと使い続けなければならない?
基本的には治療は継続することになりますが、薬をずっと同じように使い続けなくてはならないとは限りません。 例えば、空気が冷たくて渇いている冬は呼吸が苦しくなるけれども、夏になると楽になるという人もよくいます。 そういう人は、夏の間だけ薬の使用をやめてみることもあります。薬の変更を試みる場合も、なるべく気候がよく、 なるべく病状が安定した時期を選んだ方が安全です。
- ▼病状がよくなったら、薬を減らすことはできる?
- 基本的に、症状が出なければ薬を減らしていくのはよいのですが、患者さん自身の感覚だけでなく、できれば病状を把握する 客観的なデータが欲しいです。自覚症状が改善したように思えても、肺機能が低下しているのに薬を減らすのは、 やはり心配です。急に薬の使い方を変えると増悪のきっかけになることもあるので、症状がよくなったからと、 いきなり中止するのは危険です。薬を減らす場合も、何からどのように減らすか、必ず医師と相談のうえで決めてください。
●薬を使っているときに、日常、気を付けることは?
薬の使い過ぎには注意が必要です。特に頓用で使う噴霧式の薬は、100回分、200回分の量が入っていたりして、 大目に使っても把握しにくいのですが、1回2錠の薬を4錠飲んだのと同じことです。 吸入回数はしっかり守ってください。副作用を減らすには吸入後のうがいも大切です。 ただし、出先ですぐにうがいできないからといって吸入をやめる必要はありません。 使うべき薬を使うことを優先してください。
- ▼日常生活では?
- COPDの治療では、患者さん自身の日常のセルフケアが欠かせません。第一はやはり禁煙の徹底です。 第二は運動でしょう。息切れしないように薬をきちんと使って、積極的に体を動かしてください。 無理のない運動を継続して行うことが大切です。運動したら、その時にあったことなども含めて記録を取ることを勧めます。 食事では、軽症で肥満があるような人は減量に努め、進行して痩せてきた人は十分な栄養を摂ることを心がけてください。
- ▼薬を上手に生かすには?
- 薬は、最初は基本的な方法で使い始めますが、その通りに使っても苦しくなるのはどういうときか。 それを患者さん自身が医師に伝えることで、その人に応じた使い方の工夫ができます。 自分の症状や状態について、具体的に医師に伝えて、よく相談してください。