手指のトラブル『指が変形してきた』

■変形性関節症

指の変形性関節症は、発症の仕組みは基本的に同じですが、症状が起きる関節によって病名が異なります。 第一関節(指先から1番目)に起こるものを「へバーデン結節」、 第二関節(指先から2番目)に起こるものを「プシャール結節」、 親指の付け根の関節(CM関節)に起こるものを「母指CM関節症」といいます。


●母指CM関節症

親指の付け根の関節が腫れたり出っ張ったりして、「物をつまむ」「瓶のふたを開ける」「ドアノブを回す」などの動作を行いにくくなります。 動作の際に痛むこともありますが、痛みのないことも少なくありません。 親指は、他の4本の指と向き合って大きく動くので、関節の負担が大きく、手の使い過ぎや加齢の影響が出やすいと考えられます。 関節の緩みや骨のずれが起きていますが、進行すると、関節が外にずれかかる場合もあります(亜脱臼)。 さらに重症になると、親指が開かなくなったり、親指の関節が曲がってしまうこともあります。

◆対処法

治療の基本は保存療法固定装具で親指の動きを制限します。 痛みが強ければ、局所麻酔とステロイド薬の関節内注射、NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)などの消炎鎮痛作用のある飲み薬、 貼り薬や塗り薬などが使われます。多くは、保存療法で症状が軽減したり、進行が抑えられるので、早めの受診が勧められます)。 痛みが強かったり、変形が激しい場合は、手術が検討されます。


●へバーデン結節 / プシャール結節

へバーデン結節とプシャール結節では、どちらも関節に変形や腫れが起こりますが、程度は人によりさまざまです。 日常生活に支障がない場合もあれば、動きが悪くなったり、変形が進んで指と指が重なってしまうこともあります。 痛みを感じるケースは2割ほどで、決して多くはありません。ただし、プシャール結節で痛みを伴う場合は、痛みが強いのが特徴です。 関節内で軟骨が摩り減ることで骨同士がこすれたり、関節周囲に骨棘ができたりして変形が進み、炎症を伴うと痛みが生じやすいといわれています。

◆対処法

ヘパーデン結節の治療は、安静が第一です。医療用のテープなどで患部を固定し、安静を保ちます。 関節が多少曲がったり、動きが悪くなっても、日常生活においてそれほど不便を感じなければ、慌てて治療をせずに様子を見ます。 一方、プシャール結節の場合は、手指を使う多くの動作に関わる第二関節が変形したり動きが悪くなったりするので、日常生活にかなりの支障が出ます。 無理のない範囲で指を動かし、関節の可動域を保つことが大切です。 痛みを伴う場合は薬物療法も行われ、局所麻酔薬とステロイド薬の関節内注射、NSAIDsなどの飲み薬、 貼り薬や塗り薬などが使われます。 どちらもほとんどの場合には手術が検討されます。へバーデン結節ではまっすぐに固定する手術、 プシャール結節では人工関節に置き換える手術を行います。


■ディピュイトラン拘縮

手のひらから指にかけて数珠状のしこり(拘縮索)ができ、徐々に指が伸ばしにくくなります。 進行すると指が曲がったままになり、生活に大きな支障を来します。 自然には回復せず、また進行が速いケースもあるので、異変を感じたらすぐに受診してください。 原因はよくわかっていませんが、高齢の男性や糖尿病のある人などに多く、また細かい作業で手を使い過ぎることや過度の飲酒などが危険因子と考えられています。

◆対処法

拘縮索は、皮膚の下の腱膜にコラーゲンなどが沈着して太く固まったもので、治療には拘縮索を溶解する酵素の注射と、 拘縮索を取り除く手術があります。注射は痛みを伴いますが、2~3週間で皮膚の症状が治まります。 手術は傷痕が治まるまでに時間がかかります。またどちらも治療後には、指を伸ばすための装具やリハビリを行います。 数年後に再発するケースが多く、再発した場合は同様の治療を繰り返します。


■神経麻痺による変形

手首や肘などの神経が締め付けられて麻痺することにより、手の指に障害が起こることがあります。 主なものは、腕の神経のうち、正中神経が締め付けられる「手根管症候群」や、 尺骨神経が締め付けられる「ギヨン管症候群」 「肘部管症候群」などです。 痺れや痛み、動かしにくさなどが主な症状ですが、進行すると、下の写真のような変形が起こることがあります。 痺れや痛みなどの症状が現れずに変形が進むこともあるので、注意が必要です。

神経麻痺による変形