胃癌を予防する食品
胃癌は日本人の癌発生率の第一位を続ける国民病で、その数は米国人の実に約10倍にも達します。 胃癌を予防するには「減塩」「野菜・果物の摂取」「ピロリ菌の駆除」が有効です。
■胃癌
漬物をよく食べる人は胃癌が2.7倍高い
日本人の癌死亡率のトップの座を肺癌に譲ったとはいえ、「胃癌」は以前、罹患率が最も高い癌です。 日本人の胃癌による死亡率が減少傾向にあるのは、一つには、医療技術の発達によって早期の発見と治療の機会が 多くなったことが考えられます。胃癌は、病巣が胃壁の浅い部位にある早期であれば手術などで100%治癒しますが、 深くまで浸潤し進行するほど治すのが難しくなります。ですから、早期発見はもちろんのこと、 できるだけ胃癌にかからないような予防策が必要になります。 実は、欧米人に比べて日本人は胃癌にかかりやすいということが以前より知られてきました。 WHO(世界保健機関)の資料でも、日本人(男性)では、胃癌の発生率が米国人の約10倍にも及ぶことが わかっています。これはいったいなぜでしょうか。
●胃癌の予防①「減塩」
日本人の胃癌の第一の原因は、塩分の摂取量が多いからではないかと指摘されています。 最近では日本人の食生活が欧米化しているとはいえ、日本の食事には、醤油や味噌、漬物など塩分のたくさん含まれる 食品が数多くあります。食塩自体には発癌性はありませんが、食塩の摂取過多が胃癌を引き起こす原因になります。 厚生労働省研究班が行った疫学調査(岩手県・秋田県・長野県・沖縄県に住む40~59歳の2万人の男性を対象に、 塩分が多く含まれる食品を摂る頻度と、 胃癌の発生率について調べたもの)によると、 漬物については、「ほとんど食べない」人に比べて 「週に1、2回食べる」人の胃癌発生率は1.54倍、 「週に3、4回食べる」人は2.71倍に上っていました。また、塩蔵魚卵(イクラやタラコなど)や、 塩辛・練りウニでも、同じように胃癌の発生率は高くなっていました。 したがって、胃癌を予防するためには、まず第一に「減塩」が必要だと考えられます。
【関連項目】:『胃癌の予防「減塩」』
●胃癌の予防②「野菜・果物の摂取」
野菜や果物には、他の食品にはない植物由来の有効成分「ファイトケミカル」が数千種類以上含まれていることが 確認されています。中でも注目を浴びているのが、過剰な活性酸素の害を退ける抗酸化成分です。 攻撃力の強い活性酸素が体内に過剰に発生すると、遺伝子に傷をつけてしまい、癌化を引き起こさせる引き金になってしまいます。 この活性酸素の害を防ぐには、抗酸化成分を摂ることが最も大切です。 果物や野菜には、β-カロテン、ビタミンA・C・E、ポリフェノールやイオウ化合物(野菜の辛味・香り成分) などの抗酸化力の強いファイトケミカルが豊富に含まれています。 また、これまで世界の研究によって、果物は胃癌だけでなく、肺癌、大腸癌、膵臓癌、膀胱癌、食道癌、咽頭癌などに 予防効果をあらわすことが明らかになってきました。
【関連項目】:『胃癌の予防「野菜・果物の摂取」』
●胃癌の予防③「ピロリ菌の駆除」
最近、胃癌の原因になる細菌として注目を集めているのが「ピロリ菌」です。 ピロリ菌は胃の粘膜に住み着き、自身で作り出す酵素の働きで、胃の中にある尿素を二酸化炭素とアンモニアに分解します。 このアンモニアの作用で、ピロリ菌は自らの周囲の環境を酸からアルカリ性に変化させ、 胃液の酸から身を守っているのですが、こうしたピロリ菌の働きが胃の病気につながるのです。 ピロリ菌がアンモニアを分泌すると、胃の粘膜や粘液の性質が変わり、胃壁が傷つけられてしまうのです。 また、胃壁はアンモニアを薄めるために、強酸性の胃液を大量に分泌させます。 こうして胃壁はピロリ菌によって障害を受け続け、胃潰瘍、ひいては胃癌を引き起こすようになると考えられるのです。 胃癌を防ぐために、胸焼け・ゲップ・腹部膨満感・ 胃もたれ・胃痛など、気になる胃の症状があった場合には 病院で検査を受け、感染がわかったらピロリ菌の除菌に取り組むのが賢明でしょう。
【関連項目】:『胃癌の予防「ピロリ菌の駆除」』