膝痛克服「ウォーキングに挑戦」負担を減らす工夫

●膝の痛みを改善するためには、積極的にウォーキングをすることが大切。
●ウォーキングをする際は、3つの工夫を取り入れるとよい。
●適切な靴を使ったり、正しい歩き方をすることで膝への負担を減らせる。


■ウォーキングをするときは

負担を減らす工夫をしながら積極的に歩く

膝に痛みがあると、膝の動かし過ぎが原因であると考えて、体を動かさなくなってしまいがちです。 ところが、体を動かさないでいると、体重が増えたり、筋力の低下が起きたりして、痛みが慢性化してしまいます。 すると、さらに体を動かさなくなり、一層体重が増えて、筋力の低下も進むため、次第に痛みが強くなるという悪循環に陥り、 やがては寝たきりになる可能性があります。こうした痛みの悪循環は、立つ、歩くなどの動作が困難になるリスクが高い 「ロコモティブシンドローム」につながることもあるのです。 悪循環に陥ることなく、痛みの改善を図るためには、早期の段階、あるいは手術後のリハビリテーションの段階で、 積極的に体を動かすことが大切です。

▼運動はウォーキングが効果的
ウォーキングは、痛みの悪循環に陥るのを防ぐ方法の一つです。 痛みが強く、歩くのが困難な場合は、専門医の指導を受ける必要がありますが、軽い痛みであれば、 症状の軽減やロコモティブシンドロームの予防のためにも、積極的にウォーキングを行うことが効果的です。 ウォーキングをする際は、膝への負担を減らし、痛みを和らげる工夫を取り入れることが大切です。 取り入れるとよい工夫には、次に紹介する3つがあります。

■ウォーキングの工夫①

4つのポイントを押さえた膝への負担の少ない靴を選ぶ

1つ目の工夫は、次の4つのポイントを押さえた靴を選ぶことです。

▼適度なクッション性のある靴底
柔らかすぎたり硬すぎたりする靴底は、膝に余計な負担をかけます。 着地の衝撃を吸収する、適度なクッション性のある靴底であれば、膝にかかる負担を軽減することができます。 最近では、革靴などのビジネスシューズでもクッション性のある靴底のものが多くあります。

▼かかとが低いもの
かかとが高いと、着地時にかかとで体重を受け止められず、かかとが低く安定したものを選ぶkとが大切です。

▼足の指を動かせる程度の幅
歩くときにかかとからつま先へ移動してきた体重を受け止めて、蹴りだすためには、ある程度余裕のある靴幅が必要です。

▼足のアーチにあった中敷き
足のアーチには、着地時に衝撃を受け止めるクッションと、足を蹴りだすばねのような役割があります。 このアーチを保てる中敷を選ぶことが大切です。

■ウォーキングの工夫②

適切な体重移動で正しい歩き方を心がける

2つ目の工夫は、正しい歩き方を心がけることです。正しい歩き方とは、かかとから着地し、足の外側からつま先に向かって 体重を移動させ、親指を中心に地面を蹴りだすという、体重移動をスムーズに行う歩き方です。 このような歩き方であれば膝に負担がかからず、痛みを軽減させることができます。

●靴底のすり減り方で歩き方がわかる

ふだん正しい歩き方ができているかどうかは、靴底のすり減り方で分かります。 正しい歩き方をしていると、靴底は親指部分と足の外側、かかとがすり減ります。 ただし、これは革靴など靴底が硬い場合の例で、ウォーキングシューズなどクッション性のある靴底の場合は、 中央部分もすり減ります。 正しい歩き方ができていないと、靴底は次のようにすり減ってきます。

▼つま先やかかとだけがすり減る
体重移動がスムーズでなく、つま先やかかとのどちらかに負担がかかっていると考えられます。

▼中央とかかとだけがすり減る
つま先で蹴り上げる力が弱く、足を引きずって歩いていると考えられます。

▼内側や外側だけがすり減る
内側だけがすり減る場合は、エックス脚があったり、内またで歩いたりしていると考えられ、 外側だけがすり減る場合は、オー脚(O脚)があったり、がに股で歩いたりしていると考えられます。

こうした靴底のすり減り方がある場合は、体重移動を意識した正しい歩き方を心がけましょう。

●O脚がある人は足底板を用いる

靴底の外側だけがすり減るO脚の人では「足底板」という中敷タイプの装具の使用が勧められます。 O脚用の足底板は外側に厚みがあります。これをを靴の中に入れると外側が少し高くなるので、O脚が矯正され、 歩いたときに膝への負担が軽くなります。O脚があり膝の痛みがある場合は、整形外科を受診して、 自分にあった足底板を処方してもらいましょう。痛みなどの症状はないがO脚があるといった場合、 近くに足底板の作製・販売をしている靴の専門店があれば、相談するとよいでしょう。


■ウォーキングの工夫③

膝に痛みがある場合は、杖を使って負担を減らす

3つ目の工夫は、杖を使うことです。歩くと膝に痛みが出るという場合でも、杖を使えば痛みを軽減できます。 また、膝の手術後の転倒防止にも役立ちます。杖の正しい持ち方、使い方を知って、ウォーキングに活用しましょう。

▼杖の持ち方
痛みのある側の足とは反対側の手で持ちます。例えば、右の膝が痛いときには左手で持ちます。 杖の持ち手の長い方を小指側にして、人差し指と中指の間に杖の首の部分を挟み、しっかりと握ります。 杖の長さは、地面に真っ直ぐついたときに、持ち手が股関節の高さにくるものがちょうどよい長さです。 適切な長さの杖を持つと、肘が軽く曲がる状態になるので確認してください。

▼杖の使い方
まず杖を前に出してつき、痛みのある側の足を前に出します。 続いて、痛みのない側の足を前に出します。この順で歩きますが、慣れてきたら、杖と痛みのある側の足をほとんど同時に 出して歩けるようになります。痛みが強い場合は、歩幅を小さくします。 痛みのある側の足を前に出し、次に痛みのない側の足を出すとき、痛みのある側の足と揃える程度の歩幅にすると 楽に歩けます。