膝の痛みを取る運動

膝の痛みを取るためには、運動をすることが大切です。 痛みが取れれば、さらに運動しやすくなり、筋力がアップし、膝の負担が軽くなる、という”好循環”が生まれます。


■運動の効果

痛くても動くことで痛みの悪循環を止める

膝が痛いと、ついつい安静にしがちですが、動かないでいると、膝を支える筋力が低下し、膝への負担が増え、痛みが悪化します。 すると、ますます動きたくなくなり、膝の痛みはさらに悪化する、という悪循環に陥っていきます。 一方、運動をすると、膝を支える筋力がアップし、膝への負担が軽くなっていきます。 痛みが軽くなると運動をしやすくなり、筋力で膝が安定する、といった好循環が生まれます。 悪循環を断ち切り、好循環に切り替えていくためには、痛くても安静にせず、動くことが大切です。 骨や関節、筋肉といった体を動かすための運動器の慢性疾患の治療は、積極的に体を動かして治すというのが、現在の治療の考え方です。


■変形性膝関節症の治療方針

患者さん全員に必要なのが運動療法

変形性膝関節症の治療は、まず病気を知ること、そのうえで、肥満のある人は減量し、運動療法を行うことが基本です。 運動療法で改善しない場合は、薬や装具を使ったり、手術を検討しますが、やはり運動療法は欠かすことができません。 つまり、軽度から重度まですべての人に共通して必要なのが、運動療法なのです。 変形性膝関節症の運動療法では、膝に強い痛みや違和感を起こさせないようにしながら、膝を支える筋肉に負荷をかける運動を行うようにします。 痛みの改善効果は高く、痛み止めの飲み薬と同じくらい効果があることがわかっています。 個人差はありますが、1~3ヵ月運動を続けると、「痛みが軽くなった」「歩きやすくなった」など、多くの人が効果を実感しています。

お勧めの運動は、下半身を中心とした筋力トレーニングとストレッチ、ウォーキングや水中ウォーキング、自転車こぎなどの有酸素運動です。 飛び跳ねたり、急に方向転換をするような運動(ランニング、テニス、スキーなど)は、膝に強い衝撃がかかります。 痛みが強い場合は避けましょう。痛みが取れれば、再開しても構いません。 ただし、膝が腫れたり、熱を持っている場合、風邪を引くなどして体調が悪い場合は、無理に行う必要はありません。 血圧が高い人や、心臓や腎臓などに持病のある人は、担当の医師に相談してから運動を行うようにしてください。 運動療法は、痛みの程度や年齢に関係なく、膝の痛みを改善するのに有効です。 まずは1ヵ月間、下のイラストのような運動を続けてみましょう。


変形性膝関節症の運動療法 変形性膝関節症の運動療法